人は高齢になると、記憶力や思考力、判断力は、個人差はあるものの低下していきます。
そのため、「伝わるだろう」と思ったことが伝わっていなかったり、コミュニケーションがうまくいかなかったりする場合が増えていきます。
認知症を発症すると、コミュニケーションはさらに難しくなります。
高齢者や認知症患者の方々が本人らしく暮らしていくための関わり方のポイントについてご紹介させていただきます。
※ビーナースでは意思決定支援スペシャリストとして活躍されている岩本ゆりさんの素顔に迫ったインタビューもあるので合わせてご覧になってみてくださいね♪
本記事の目次
高齢者や認知症の方の表現の特徴
「医師に任せる」「家族の言うとおりに」は本心ではないことがある
高齢になると、「医師に任せる」「家族が言うとおりに」と、さもそれが自分の意思のように話される方がいます。
もちろん、本心からの場合もありますが、これまでの家族との関係や、医師との関係から、「迷惑をかけたくない」「説明されてもわからないから、しょうがない」など、あきらめの感情からの発言である場合があります。
認知症の方は不安を抱えやすい
特に認知症を発症すると、難しい会話内容がわからなくなったり、すぐに忘れてしまったりすることがあります。
しかしながら、「説明しても忘れてしまう」「わかってくれない」ことを理由にして全く説明をしないのは、その方の不安を強くし不信感に繋がります。
認知症の方において、不安を抱えることは、さらなる症状の悪化へ繋がらないとも限りません。
高齢であっても、認知症であっても、それぞれに合った環境では意思を引き出すことができる
高齢であっても、認知症であっても、落ち着いて本人を尊重したコミュニケーションの中では、それぞれの意思を示しやすくなります。
関わり手が思い込みで判断せず、ゆっくりと本人の意思を探っていきましょう。
どんな人にも、本人の意思を示す権利があります。
画像出典:spacesandgems.com
高齢者や認知症患者との意思決定支援のポイント
高齢者や認知症患者とのコミュニケーションをどのように引き出していくかのポイントを挙げていきましょう。
症状が強い場合は適した治療を行う
せん妄やうつなど精神症状がある場合は、薬剤や環境調整が先決です。
また、痛みなどの不快な症状もコミュニケーション全般に影響を与えるので、適切な治療を行うことが必要です。
集中できる環境をつくる
できるだけ音や人の動きなどの刺激が少ない、ゆったりとした環境で対話をすると、集中してやりとりがしやすくなります。
家族など信頼できる人が一緒にいると安心度が高まるかもしれません。
時間をゆっくりとかける
能力が低下するといった場合、できていたことが、いきなりゼロになるわけではありません。
たとえば「思い出せない」ではなく「思い出すのに時間がかかる」ということがあります。
質問を矢継ぎ早にしてしまうと、ひとつのことを対応する前に、次の質問がきてしまうため、全て処理しきれなくなってしまいます。
急かさずゆっくりと待つ姿勢が大切です。
シンプルなことばを使う
若い頃は理解できていた長くて複雑な文章も、年齢とともに聴き取れにくく、一度にたくさんの量は処理しきれなくなっていくものです。
会話に使うことばは簡単に、短い文で区切って話すと良いでしょう。
話しことばだけではなく、表情や声のトーンを穏やかに保ち、ジェスチャーなども用いると理解に繋がる場合があります。
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