認知症治療で使用される薬とは?~中核症状、BPSDそれぞれ解説~

 

2.BPSDに対する薬物療法

 

(1)単独療法は原則的に禁忌

 

BPSDに対する薬物療法は、非薬物療法の効果がみられない場合に投与されるものであります。

薬物療法単独によるBPSDの治療は行わず、中核症状の薬剤プラス非薬物療法と並行して導入されてきます。

 

BPSDは主として抗精神病薬が使用されますが、中核症状のメイン薬以外の服用で、思わぬ副作用が出現してきます。

認知症の方によっては過鎮静や低血圧、脱力による転倒や便秘などのリスクが高くなってきます。

副作用に注意しながら低用量から開始し、適宜BPSDの評価を行い、漠然と長期投与にならないことが大切になってきます。

 

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・BPSDに導入される主な薬剤

非定型抗精神病薬

  • ・一般名:リスペリドン(商品名:リスパダール、リスペリドン)
  • ・一般名:オランザピン(商品名:オランザピン、ジプレキサ、ジプレキサザイディス)
  • ・一般名:クエチアピンフマル酸塩(商品名:クエチアピン、セロクエル)
  • ・一般名:アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)

 

・それぞれの特徴

抗精神病薬は幻覚や妄想、興奮などに対して広く使用されていますが、共通する副作用に薬剤性パーキンソン症候群があります。

姿勢反射が鈍くなると転倒のリスクも高くなってくるため、2~3ケ月に1回程度は投薬の見直しをしていく必要があります。

糖尿病に罹患している認知症の方には、上記で上げたオランザピンとクエチアピンフマル酸塩は禁忌となっているため、注意しなければいけません

 

また漢方薬である抑肝散が、BPSDアルツハイマー型認知症に対して高い効果があることが分かっています。

抑肝酸は薬剤性パーキンソン症候群の副作用がないため、最もポピュラーに使用されています。

そういえば私の勤務先でも約6割近くの患者様が抑肝散を服用されておりますね。

 

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