『在宅医療・ホスピスのイロハ』 ~第3回:在宅医療とは?(2)~


 

今回は、第2回の続きとなります。

第2回は、「在宅医療とは何か?」という疑問に対して、ストレートな回答を与えるものでした。

それに対し、今回は「在宅医療の歴史」と「在宅医療の今」について述べることで、より根本的に在宅医療を理解したいと思います。

 

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『在宅医療・ホスピスのイロハ』の目次

 

第1回 『在宅医療・ホスピスのイロハ』について
第2回 在宅医療とは?(1)
第3回 在宅医療とは?(2)
第4回 ホスピスとは?
第5回 在宅医療・ホスピスに関する近年の行政の動き(1)
第6回 在宅医療・ホスピスに関する近年の行政の動き(2)
第7回 今後の在宅医療・ホスピス業界の課題
第8回 シリーズまとめ ~在宅医療・ホスピス業界に必要なこと~

 

在宅医療の歴史

 

これまで、「在宅医療ってなに?」という点をご説明してきました。

では次に、そんな在宅医療の歴史を振り返ってみましょう。

これまでの在宅医療の概念や制度の変遷を知ることで、在宅医療の将来の見通しをよりリアルに感じること、そして制度面を含む課題意識を持つことが目的となります。

 

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画像出典:suehiro-iin.coml

 

在宅医療の淵源と発展

 

日本の(近代的な)在宅医療の「元年」と呼びうる年は、1975年・1981年・1986年・1992年と、大きく4パターン考えられます。

見方によって、どの年度が「始まり」かは異なるので、一概に決めつけは出来ませんが、
どの年も「分岐点」としては非常に重要で、結果として在宅医療の歴史を辿ることになるので、以下それらを軸に淵源と変遷についてみていきます。

 

<1975年に何があったのか?>

社会的な事情を基準にすると、1975年を在宅医療の「元年」と位置付けることが出来ます。
というのも、「病院での看取り」の件数が1955年ごろから漸増し、1975 年ごろに「自宅での死亡」の件数を上回るという「逆転現象」が起こったからです。(下記図1を参照のこと)
この出来事は、数字的にも説得力があるため、在宅医療におけるターニングポイントと言えるのは間違いないでしょう。
なお、「逆転現象」の理由としては、1960年代~1970年代の高度経済成長を背景に、病院数・病床数が急速に増加し始め、それに伴い、往診医療を中心とした在宅での医療が消滅していったことが挙げられます。

 

<1981年に何があったのか?>

次に在宅医療「元年」と考えられるのは、1981年です。
上述の通り、1975年ごろの「逆転現象」もあって、在宅医療見直しの気運が高まりました。
その結果、当然ながら制度の改正に至りましたが、その発端と言われているのが、1981 年の「自己注射指導管理料の認定」になります。
とはいえ「自己注射」ですので、厳密には医療従事者による医療行為ではないという点に注意が必要です。つまり、「制度」としての在宅医療は、医療行為を居宅で行うことを認めるというところから再出発をしたのであって、医療者が居宅で医療を提供するという「本来の在宅医療」とは異なるものであった、ということが言えます。

※参考1:現在の在宅自己注射指導管理料について
※参考2:関連法文

 

<1986年に何があったのか?>

在宅医療は、1986年から改定毎に新しい点数が新設されてきました。
このことから、”実質的”な「元年」としては1986年であるとする見方もあります。(参考:在宅医療研究所

 

<1992年に何があったのか?>

最後に在宅医療のターニングポイントとして決定的なものをご紹介すると、1992 年の「医療法の改正」です。この改正により、居宅を医療提供の場に制度として正式に認める、つまり本来の意味での在宅医療のスタートが決定的なものとなりました。

その他、医療法改正後のポイントとしては、2006年の「老人保健法(現在は「高齢者の医療の確保に関する法律」)」の改正時に、在宅を対象にした「訪問看護ステーション」が認められ、また同時期に「在宅療養支援診療所」が制度化されたことが挙げられます。
※「在宅療養支援診療所」については、本シリーズ第5回でご説明します。

これ以後、在宅での医療・介護サービスの利用者は増え続けており、医療費抑制策の下での「在院日数の縮小」や「病床数の削減」と連動した「在宅医療の整備」が診療報酬改定のたびに手厚くなるなど、制度改正における最重要課題の一つとして位置づけられるまでに至っています。

(参考:これからの医療のあり方を考える

 

図1. 死亡時の場所の変遷について

画像出典:lohasmedical.jp

 

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