『在宅医療・ホスピスのイロハ』 ~第6回:近年の行政の動き(2)~

「地域包括ケアシステム」とは? ~具体像・実現方法~

 

地域包括ケアシステムの具体像

 

では、地域包括ケアシステムは具体的にはどのようなものかと言えば「住まいを中心として、介護予防のサービスを受けながら、必要があれば介護、医療が必要であればかかりつけ医の診療を受け、急性の病気が発症すれば病院に、急性期を脱すればまた地域にもどる、という一体型のサービスを提供する」ということを指します。

これは、下図でも示されている通りです。

また、地域包括ケアシステムでいう地域とは、概ね30分以内に行ける地域(中学校区を目安)が想定されています。(参考

 

2025年の地域包括ケアシステムの姿

画像出典:mhlw.go.jp

 

地域包括ケアシステム、2025年の実現に向けて

 

地域包括ケアシステムは、2025年の実現目標を打ち出しています。

2025年と言えば、団塊の世代が高齢者となる年(「2025年問題」と呼ばれることもあります)。

そんな社会的変革期を迎える2025年に地域包括ケアシステムを機能させておくことは、非常に重要な課題というわけです。

 

この点、「機能させておく」ための条件としては、下記6つが挙げられます。(参考

 

  1. 医療が必要な高齢者や重度の要介護高齢者についても、可能な限り在宅で生活できるよう支えるシステム
  2. 一人暮らし高齢者や、虚弱な長寿高齢者を在宅で支えるシステム
  3. 長寿化に伴い、増加が見込まれる「認知症高齢者」を在宅で支えるシステム
  4. 入院しても、円滑に退院が可能となるシステム
  5. 在宅での看取りができるシステム
  6. 利用者や家族のQOLの確保 ができるシステム

 

つまり、2025年に地域包括ケアシステムが「機能している」と言えるためには、上記6つを具体化する必要があります。

 

では、これら6つは、どのような行動へと具体化されるのでしょうか?

厚生労働省は、それを「地域包括ケアシステム構築の進め方とPDCAサイクル」という文書で提示しています。そこで示されている概念図が下図となります。

 

地域包括ケアシステム PDCA

出典:mhlw.go.jp

 

この図で示される内容は、次回でも取り扱うため、イメージとして頭に入れておきましょう。

 

まとめ ~高齢化社会をリアルに感じられるかが鍵~

 

第5回、第6回ではそれぞれ、「在宅療養支援診療所」、「地域包括ケアシステム」について述べてきました。

双方、比較的若い制度で、今後も発展していくことは間違いありません。

そうした中では、制度の担い手(国民と、医師や看護師など医療従事者)が「どれだけリアルに将来像をイメージできるか」が非常に重要となります。

将来のイメージができなければ、「案外乗り越えられそう」とも「このままいくとヤバい!」とも思うことは出来ません。

 

では、どのようにすれば将来像を描きやすくなるのか?

そのためには、情報が必要です。

今後も、Be Nurseでは重要な情報を整理してお伝えしたいと思っております。

 

→次回は、「今後の在宅医療・ホスピス界の課題」についてご説明します。
上記2つの制度の課題・問題点についても触れていますので、是非続けてご覧ください!

 

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