『在宅医療・ホスピスのイロハ』 ~第7回:今後の在宅医療・ホスピス界の課題~

 

前回までは、これまでの在宅医療・ホスピスの歩みや制度的な取り組みについて述べてきました。

そこで今回は、今後の在宅医療・ホスピス界の課題について扱っていきます。

本記事の目次としては、「在宅医療業界の課題」と「ホスピス業界の課題」を述べたのち、「行政の課題」について詳らかにしていきます。

これからを生きる医療従事者、そして患者が必ず直面する課題ばかりです。

一緒に考えていきましょう!

 

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画像出典:mirror.co.uk

 

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『在宅医療・ホスピスのイロハ』の目次

 

第1回 『在宅医療・ホスピスのイロハ』について

第2回 在宅医療とは?(1)

第3回 在宅医療とは?(2)

第4回 ホスピスとは?

第5回 在宅医療・ホスピスに関する近年の行政の動き(1)

第6回 在宅医療・ホスピスに関する近年の行政の動き(2)

第7回 今後の在宅医療・ホスピス業界の課題

第8回 まとめ

 

在宅医療業界の課題

 

在宅医療業界での最も重要な課題は、「関連各所間の連携を図ることが出来るかどうか」です。

もちろん、かかりつけの医師や看護師、介護士、そして保健師などが個人として連携を深めることも重要ですが、連携の「仕組み」としてはまだまだ不十分だと言えます。

こうした現状から、最近では新しい動きが出始めています。

それは、いわゆる「在宅医療プラットフォーム」の動きです。

かいつまんで言うと、「患者への情報提供・多職種連携支援、そして在宅医療に携わる医師の負担となっている夜間・休日の緊急コールおよび往診の支援」などをするのが、在宅医療プラットフォームになります。

特に、「24時間365日の緊急コール」や「緊急往診対応」は、現在医師や看護師たちの大きな負担となっているため有意義なものであること、複雑な医事計算・多職種連携などは従来の外来クリニックとは異なるノウハウが必要とされることなどから、注目を浴びています。(産経新聞2015年10月13日

こうした、「可能な限り医師の負担を減らし、より多くの外来クリニックや病院、新規開業医が、在宅医療に参入しやすく」する動きは、課題解決の糸口となり得るかもしれません。

 

※下図は在宅プラットフォームのイメージ図

画像出典:prtimes.jp

 

ホスピス業界の課題

 

ホスピス業界の中でも特に、「在宅ホスピス」が抱える課題に着目すると、「患者さんおよびご家族の負担」の問題は、在宅ホスピスに今後も継続してつきまとう課題であると考えられます。

この点、「最期までの自宅療養が実現困難であるとお考えになる具体的な理由をいくつでもお答えください」という患者さん本人へのアンケートの結果を下に掲載しておきます。

 

※厚生労働省第19回社会保障審議会医療保険部会(2005年)資料

自宅で最期まで療養することが困難な理由のグラフ

画像出典:mhlw.go.jp

 

上図からは、「家族への負担」や「症状が急変したときの対応」が患者さんの大きな不安要因であることが分かります。

この点、インフォームドコンセントの徹底が最も具体的なレベルでの解決策になると考えます。

というのも、医師に「インフォームドコンセントをしましたか」と問うと75%の人が「自分はきちんとしたインフォームドコンセントを行った」と答えていますが、
患者さんに尋ねると、75%の人が「自分はきちんとしたインフォームドコンセントを受けていない」と答えていることが報告されているからです。

また、社会レベルでいえば、家族が事前に在宅医療やホスピスの情報を知っていれば、不安に思うべきポイントがある程度分かります。

さらに、行政レベルでいえば、在宅医療の課題と同じように「関係機関同士の連携を深めること」は、「患者さんの安心」にとっていい影響を及ぼすに違いないでしょう。

 

このように、様々なレベルでの解決策が考えられます。

(参考:第25回 福岡緩和ケア研究会 定例会(2003年2月26日)資料
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