看護師にとっての在宅の良さって何ですか? 【インタビュー:緩和ケア認定看護師・落合実さん(1)】


 

これまで、業界でも屈指の著名な看護師さんにお話を伺ってきたビーナースですが、今回は新進気鋭の若手看護師にインタビューを敢行!

 

今回お話を伺うことが出来たのは、WyL株式会社取締役の落合実さん

落合さんは現在、ウィル訪問看護ステーション江戸川にて緩和ケア認定看護師としてご活躍されている現役看護師。

有床診療所や大学病院を経て訪問看護師になられたという経歴をお持ちの落合さん。話し口調は穏やかな反面、内側に熱い志を持っていることがひしひしと感じられるインタビューとなりました。

 

そうして様々な場所で看護を経験してきた落合さんが思う、「看護」あるいは「訪問看護」とは一体どのようなものか?

あるいは、病院と在宅の決定的な違いとは何なのか??

 

上記の疑問を踏まえつつ、初めて勤務した有床診療所での体験、印象深い患者さんのエピソード、看護師としての軸など、具体的なお話の数々をお聞きすることが出来ました。

特に、現役看護師の方にとっては非常に参考となる内容となっているはずです。

 

緩和ケア認定看護師 落合

ウィル訪問看護ステーション江戸川 緩和ケア認定看護師 落合 実さん

 

異色の経歴を持つ看護師

 

――今までのご経験を踏まえつつ、現在のご活動について教えて頂けますでしょうか。

 

高校生のときに看護師を目指すようになり、看護系大学を希望して大学受験をしました。

しかし、経済的な事情で准看講師の養成校に進学することになり、進学と同時に有床診療所に勤務、その間(5年間)に准看護師を経て看護師の資格を取得しました。

 

その後、地元を離れ東京の大学病院へ移り約3年勤めたのちに、訪問看護ステーションへと転職しました。

訪問看護ステーションではサテライト事業所の開設に携わり、自分自身でも訪問看護を行ったり、管理者としても働いたり、色々と勉強させてもらいました。

 

また、その訪問看護ステーションに勤めている間に、常勤勤務を続けながら緩和ケア認定看護師になるための学校に通い、現在はWyL株式会社の取締役、ウィル訪問看護ステーション江戸川の緩和ケア認定看護師として働いています。

 

――お聞きしたいトピックが盛り沢山ですが、、、まず、管理者としての経験から伺います。訪問看護をはじめてどれくらい経った時に管理者になられたのでしょうか?

 

サテライトステーションを作るタイミングで私が入社したため、訪問看護ステーションに入社して3か月後にサテライト事業所の管理者になりました

もちろん事前に研修を受けたり、主たる事業所の管理者やスタッフのフォローを受けてですが。笑

 

――すごいですね。。。訪問看護ステーションに入られたのはどのような経緯ですか?

 

東京の大学病院に転職をした当時は、母に持病があったため、5年後には地元の福岡に帰ろうと思っていました。

具体的には、東京にいる始めの3年間は大学病院で働き、残り2年間は在宅で勉強、そして地元で訪問看護をするつもりでした。

ですので、3年で病院を辞める際に色々な訪問看護ステーションに面接に行ったんです。

 

その時にたまたま声を掛けていただいたところが、ちょうどサテライトステーションを作ることになっていて、その開設に携わらないかと誘われました。

そこでは、フォローの下でサテライト事業所の管理者を務めることが出来るとのことでした。

しかも、1からというわけではなく、サテライトステーションなので既に教育やノウハウ等が揃っている状態。

 

これは不安ではあるけどチャンスだ

 

そう思い、入社しました。

就職して1~2ヶ月間、何もない更地にビルが立っていく様子を見ながら本部で研修を受け、入社して3か月後にそのステーションが完成したという流れです。

 

――管理者としての経験を積むにはすごくいいタイミングだったんですね。

 

そうですね、すごくいい環境でした。

その訪問看護ステーションは株式会社が運営しており、看護師だけで運営している会社ではなかったため、様々なバックグラウンドを持つ方々の経営管理の仕方や事業の進め方を見て勉強することが出来ました

近くにはメインの事業所の方々がいて、サテライトの僕達よりも先に進んでいる状態にありましたので、そうした事業所の先輩達に教わりながら学べた点は非常に恵まれていたと思っています。

 

――ご経歴をお聞きしても、看護師として様々な体験を積んでこられたことが分かります。

 

そうですね。

もともと終末期看護に興味があって看護師になったこともありますが、有床診療所、大学病院、在宅と様々な場所で実践経験を積むことが出来ているのはすごく貴重だと思っています

 

私が勤務していた有床診療所は、本当に地域に根ざしている診療所でした。

患者さんにとっては長年かかりつけの先生がいて、デイサービスも行っているような診療所。

そして何より、僕が入る前から「地域の中でずっと医療を提供してきた」という歴史がありました。

たとえば、病気になって大きな病院に行ったけど、「やっぱり最後は先生のところで診てもらう」といった方がたくさんいらっしゃいました。

 

そこでは、ありのままの「終末期」とでもいうものを見たような感覚があります。

ご本人として自分が(死ぬことを)分かっている方が多くいらっしゃいましたし、ご家族に関しても、色々と考えた末に(診療所に)いらっしゃる方が多かったので、積極的な治療はせず、なるべく穏やかに「いい時間」を過ごそうとしている方々が多かったです。

 

そんな有床診療所で5年間勤務した後に行った大学病院には、全く違う現場がありました。

「死にたくない」「もっと治療したい」「化学療法受けたい」「骨髄移植したい」「もう一回放射線治療したい」・・・そうした、「生きる」ことに頑張っている方々を見たのです。

 

そして現在は在宅。

こうして様々な角度からお亡くなりになる場面を見てきたというのが私のこれまでの経験です。
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