年々がんにかかる患者さんが増えていく中、「緩和ケア病棟」という言葉をますます聞く時代になってきました。
看護師にとっても、「働く場所」「関わりを持つ場所」として認識するようになっているのではないでしょうか。
しかし、そもそも緩和ケア病棟で働く看護師の目的や役割についてご存知でしょうか?
「言葉だけは聞いたことはあるけれど中身はいまいち…」、「なんとなく大変そう?」などのイメージを持っている方も、本記事でチェックしておきましょう!
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緩和ケア病棟の主目的とは?
緩和ケア病棟とは、病気の治癒を目的としたものではありません。
緩和ケア病棟の目的は、様々な苦痛を取り除き、少しでもその人らしく快適な生活を送れるようにケアを行う病棟です。
すなわち、患者さんの苦痛を和らげるケアを提供することが目的です。
では、次に緩和ケア病棟における看護師の役割について見ていきましょう。
緩和ケア病棟における看護師の役割
緩和ケア病棟における看護師の役割を見る前に、まずは緩和ケア病棟におけるケアの実際の状況について確認しておきましょう。
緩和ケア病棟における看護師のケアの実際とは?
緩和ケア病棟においては、痛みや苦痛の軽減を目的とした治療やケアを行います。
また、患者さんは身体的な苦痛だけでなく、心理的な苦痛も多く抱えておられます。
今から起こり得ることへの不安に対し、患者さんご本人やご家族とコミュニケーションを取りながら、適切なケアができるようにサポートしていきます。
緩和ケア病棟でも患者さんの快適な生活を支えていくので、入院、生活の整備が必要となってきます。
簡単ですがこれらを前提とし、以下、緩和ケア病棟における役割について見ていきましょう!
緩和ケアでの看護師の役割①:患者さんのQOLを考える
看護師に求められることは、患者さんのQOLの維持、向上を考えながら、快適な環境を提供するにはどうしたら良いかを考えていくことです。
というのも、緩和ケア病棟は確かに病棟ではありますが、個室が多く、その患者さんらしい環境を作ることも可能だからです。
それ故、看護師は患者さんに寄り添い、患者さんにとって最高のエンディングステージを演出することができます。
例えば、音楽会や季節に応じたイベントなどを行い、ご家族も一緒にリラックスした時間が過ごせる環境づくりをすることもできます。
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緩和ケアでの看護師の役割②:最重要業務である「聴く」こと
緩和ケア病棟の最も重要な業務は、患者さん本人、ご家族の話を聴くことにあります。
そのために必要とされるのは、「一緒に悩み、一緒に考える、患者さんやご家族のそばで寄り添う看護」です。
それ故、時には一緒に泣くことも、緩和ケア病棟では許されるのではないでしょうか。
※参考記事:ホスピスナースの先駆者、田村恵子先生のインタビュー記事
なお、看護師としてではなく「人」として寄り添う時間も、きっと患者さんにとっては最高の時間になります。
そして、患者さんの人生を共有することで看護師も得ることが多いと思います。
これも看護師という職業の醍醐味の一つと言えるのではないでしょうか。
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