【緩和ケアに係る診療報酬改定2016】がん性疼痛緩和指導管理料の見直し(用語説明付)


 

平成28年度(2016年)の診療報酬改定では、
在宅領域(在宅医療・訪問看護・(ホスピス)緩和ケア・看取り)に関わる制度改定が多数行われました。

これは、在宅領域が医療・看護・介護業界に関わる”すべて”の方々に大きな影響があることを意味します。

しかし、webサイトでは、政府資料のペーストがされているのみで、情報が整理されているとは言い難いのが実情。
そこで、ビーナースが他サイトに先駆け、「在宅」にかかわる診療報酬改定項目を順次見やすい形に整理していきます。

今回は、中でも「ホスピス)緩和ケア」に関わる改定項目(「がん性疼痛緩和指導管理料の見直し」)を、用語解説を含めてご説明します!

 ※公式資料はこちら(本記事に関連するのはp204)

 

診療報酬改定、がん性疼痛緩和指導管理料

画像出典:sain-et-naturel.com

 

「がん性疼痛緩和指導管理料」について

 

まずは、「がん性疼痛緩和指導管理料」に関連する用語説明を致します。

以下、辞書的な定義を踏まえたうえで、がん性疼痛の特徴治療法について簡単にご説明します。

 

「がん性疼痛」とは?

 

まず、辞書的な説明をしておくと、「疼痛」とは、「ずきずきとうずくように痛むこと」です。

すなわち、「がんに起因する、ずきずきとうずくような痛み」のことを総称して、「がん性疼痛」といいます。

大阪医療センターのホームページでは、「がん性疼痛」について平易な説明がされていますので、そちらを引用しておきます。

 

がん患者さんには、「痛み」の他に、息苦しさ、咳、不眠、吐き気、嘔吐、食欲不振、便秘、下痢などの苦しい症状がみられます。

その原因はがんの進行から起こるものや、「抗がん剤」を使っているため、あるいは手術を行ったためなどいくつかあります。

この苦しい症状のなかで訴えの一番多いものが「痛み」です。

がんの全患者さんの約50%で、末期がんになると約70%の患者さんで体験されます。

がんの強い「痛み」がいつまでも続くと夜ねむれなくなり、食欲も落ちていきます。

患者さんによっては精神的にも不安定になったりします。

がんの「痛み」は辛抱する価値のない「痛み」ですので、「痛み止めのくすり」で「痛み」をおさえることが重要になります。

 

画像出典:med.osaka-u.ac.jp

 

「がん性疼痛」の特徴

 

がん性疼痛の特徴は、以下の4つに分類されます。

 

1.がん自体が原因となる痛み

がんの痛みの約70%は、がん自体が周囲の組織に広がって起こる痛みです。

骨に転移した場合、骨膜への刺激や骨折などによって痛みが起こります。

また、胃や腸など内蔵にがんが広がると、消化管の動きが悪くなり、腹痛が起こります。

さらに、がんの広がりによって神経が圧迫されると、激しい、しびれたような痛みが起こります。

 

2.がんに関連した痛み

がんが間接的な原因となる痛みです。

がんで寝たきりの時間が長くなると、筋肉がやせたり、関節が硬くなり、動かすと痛みが生じます。

また、がんの痛みのために同じ姿勢で寝ていると床ずれ(褥創)が起こります。

さらに、がんによって起こる便秘も痛みの原因になります。

 

3.がん治療に関連した痛み

がんの治療によって痛みが出現することがあります。

手術によってできた瘢痕(はんこん:傷跡)や、神経の損傷によって痛みを感じることがあります。

抗がん剤治療で起こる口内炎も痛みの原因になり得ます。

また、放射線治療では、口内炎や腸炎、皮膚のやけどなどで痛みが起こることがあります。

 

4.がんに関係のない痛み

もともと持っている頭痛・関節痛など、がんとは関係ない痛みが、がんに併発して起こった痛みのことです。

また、がんになると自己免疫機能が低下するため、感染症にかかりやすくなります。

なお、帯状疱疹(たいじょうほうしん)は神経を侵すので、強い痛みが出現することがあります。

 

※上記「がん性疼痛の特徴」は、「がん情報サービス」から多くを引用しています。

 

「がん性疼痛」の治療法(WHOがん疼痛治療指針)

 

WHO方式について

 

がん疼痛治療の基本は、現在でも1986年に発表されたモルヒネを中心とした「WHO方式」が基本とされています。

WHO方式は、がん性疼痛治療のスタンダードとなっており、それによってがん性疼痛の80〜90%は改善するといわれています。*

それにあたっては、下記にあげる5つの基本原則が重要となります。

* 参考:ganjyoho.jp

 

  • 1.by the mouth:経口投与を基本とする
  • 2.by the clock:時間を決めて定期的に投与する(疼痛時のみで使用しない)
  • 3.by the ladder:徐痛ラダーに沿って痛みの強さに応じた薬物を使用する(麻薬は痛みがある患者では精神依存は起こらないため、中等度以上の痛みがある時には適応となる)
  • 4.for the individual:患者に見合った個別的な量を投与する(至適投与量と鎮痛効果が最大となり、かつ副作用が最小となる投与量の目標に調整する)
  • 5.with attention to detail:上記4原則を守ったうえで、患者への細かい配慮を行う(がんの痛みは、診断から亡くなるまでの間に強さも性質も変化するが、オピオイドの反応性を確かめながら、その変化に対応していくことが重要)

 

WHOラダー

画像出典:jspm.ne.jp

 

治療の目標3つ

 

痛みの治療の最終目標は、患者さんが「痛み」から解放されて、できるだけ平常に近い日常生活をおくれるようにすることです。

しかし、治療をしても完全に「痛み」が消えるとは限りませんが、大幅に「痛み」はなくなります。

そこで、一般的に治療の目標は次の三段階にわけて行われています。

 

  • 第1目標:夜間、ぐっすりねむれるようになる
  • 第2目標:静かにしていれば、痛くないようになる
  • 第3目標:歩いたり、からだを動かしたりしても痛くない

 

 

※「がん疼痛治療」に関する参考文献※

日本緩和医療学会『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン』

WHO, “Cancer pain relief ―With a guide to opioid availability―”(second edition,1996)

 

 

「がん性疼痛緩和指導管理料」とは?

 

では、「がん性疼痛緩和指導管理料」とはどのような診療報酬なのでしょうか。

もともと「がん性疼痛緩和指導管理料」は、平成19年(2007年)4月の診療報酬改定で新設され、「100点」の加算がなされました。

そのポイントは、下記の通りです。

 

①がん性疼痛緩和指導管理料は、がん性疼痛の症状緩和を目的に麻薬を投与されている患者に対する治療管理、療養上の指導を評価するもの

②WHO方式のガン性疼痛の治療法に従って継続的な治療を行い、薬剤の効果、副作用の説明等の指導を行った場合に、麻薬の処方日に月1回算定する

※引用元:在宅医療研究所

 

以上が、基本的な用語説明となります。

それでは以下、「がん性疼痛緩和指導管理料の見直し」について見ていきましょう。
(ただし、本改定自体はそれほど複雑ではありません!)

 

「がん性疼痛緩和指導管理料の見直し」の概要

 

それでは、「がん性疼痛緩和指導管理料の見直し」の改定項目の内容に触れていきましょう。

 

本改定の趣旨

 

緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価について

 

本改定の基本的な考え方

 

がん対策推進基本計画*に基づいて、

平成 29 年6月までに全ての医療従事者が受講することを目標として緩和ケア研修が実施されており、

受講した医師が順調に増加していることから、がん性疼痛緩和指導管理料については、

緩和ケアに係る研修を受けた医師が実施することを要件とする。

 

* 「がん対策基本計画」の「概要」については、「『在宅医療・ホスピスのイロハ』 ~第4回:ホスピスとは?~」を参照のこと

 

改定項目概要

 

現行のがん性疼痛緩和指導管理料2について、1 年間の経過措置を設 けた上で、廃止する。

 

 

「がん性疼痛緩和指導管理料の見直し」の具体的内容

 

本改定の具体的内容は、下図の通りです。

 

診療報酬改定、緩和ケア、がん性疼痛緩和指導管理料

画像出典:hodanren.doc-net.or.jp

 

[経過措置] 現行のがん性疼痛緩和指導管理料2の規定については、平成 29 年3月 31 日までの間は、なお従前の例による。

 

「がん性疼痛緩和指導管理料の見直し」 まとめ

 

以上が、「(ホスピス)緩和ケア」に関わる改定項目(「がん性疼痛緩和指導管理料の見直し」)の整理になります。

まだまだ改定から間もないため、独自の解釈は控えております。

今後、業務等で改定にかかわる疑問が出てきたときには、ビーナースでざっと把握していただければ幸いです。

 


☆本記事に関連する診療報酬改定記事はこちら

 

【訪問看護に係る診療報酬改定2016まとめ】

【緩和ケア係る診療報酬改定2016まとめ】

地域がん診療病院・小児がん拠点病院の評価

がん治療中の外来患者の在宅医療への連携の充実

緩和ケア病棟における在宅療養支援の充実

 

☆「緩和ケア」に関するおすすめ記事はこちら

 

緩和ケアに関して優れた知見をお持ちの梅田先生のインタビュー記事

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