【看取りに係る診療報酬改定2016】在宅医療における看取り実績に関する評価の充実(用語説明付)


 

平成28年度(2016年)の診療報酬改定では、在宅医療・訪問看護・(ホスピス)緩和ケア・看取りに関する制度改定が多数行われました。

これは、「在宅」領域が医療・看護・介護業界に関わる方々”すべて”に少なくない影響を与えるものと思われますが、web上のサイトでは、政府資料のペーストがされているのみで、情報が整理されているとは言い難いのが実情。

そこで、ビーナースが他サイトに先駆け、「在宅」にかかわる診療報酬改定項目を、順次見やすい形に整理致します。

 

今回は、中でも「看取り」に関わる改定項目(「在宅医療における看取り実績に関する評価の充実」)を、用語解説を含めてご説明します。

 ※公式資料はこちら(本記事に関連するのはp124-127)

 

看取り、診療報酬改定

画像出典:publicsector.sa.gov.au

 

 

「看取り」とは?

 

まず、「看取りとはなにか」という点をご説明します。

「看取り」は、辞書的には「病人のそばにいて世話をする」「死期まで見守る」「看病する」といった意味です。

また、一般的にも「終末期において世話をすること」と”考えられて”いることかと思います。

 

しかし、言葉の定義は何かしらの物事を考える際には、非常に重要です。

箕岡真子氏によれば「看取り」とは正確には次のように定義されます。*

 

無益な延命治療をせずに、自然の過程で死にゆく高齢者を見守るケアをすること

 

“公式”には定義されていませんが、一般的に流布している「イメージ」ではなく、こちらの一定程度の精査を経た定義を覚えておきましょう。

 

* 参照:「2030年の「看取り難民」問題、その本質とは?

 

 

「在宅医療における看取り実績に関する評価の充実」の概要

 

では、「看取り」の定義を確認したところで、改定項目の内容に触れていきましょう。

 

・本改定の趣旨

 

質の高い在宅医療・訪問看護の確保すること

 

・本改定の基本的な考え方

 

「在宅医療において、実績に応じた評価を行う観点から、緊急往診及び看取りの十分な実績を有する在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院に対する評価の見直しを行う。」

 

・改定項目概要

 

1. 機能強化型の在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院のうち、緩和ケアに関する十分な経験を有し、十分な緊急往診や看取りの実績を有する保険医療機関に対する評価を新設する。*

2. 在宅療養実績加算について、実績の段階等に応じた評価の精緻化を行うとともに、医学総合管理料の見直しに伴う評価の見直しを行う。**

 

* 「機能強化型在宅療養支援診療所」に関する記事(記事中部に解説があります)

** 在宅療養実績加算とは、「在宅医療を担当する常勤医師が3名以上確保されていないが、十分な緊急往診及び看取りの実績を有する在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院に対する評価」のことです

 

 

「在宅医療における看取り実績に関する評価の充実」の具体的内容

 

・「在宅療養支援施設の評価」に関する改定の具体的内容

 

まず、「1」の「機能強化型の在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院」に対する評価の新設についてです。

新設された評価基準は下記の通りです。

 

  • ● (新) 在宅緩和ケア充実診療所・病院加算(緊急、夜間・休日又は深夜の往診)  100 点
  • ● (新) 在宅緩和ケア充実診療所・病院加算(ターミナルケア加算) 1,000 点
  • ● (新) 在宅緩和ケア充実診療所・病院加算(在宅時医学総合管理料)
    – 単一建物診療患者数が1人の場合 400 点
    – 単一建物診療患者数が2~9人の場合 200 点
    – その他の場合 100 点
  • ● (新) 在宅緩和ケア充実診療所・病院加算(施設入居時等医学総合管理料)
    – 単一建物診療患者数が1人の場合 300 点
    – 単一建物診療患者数が2~9人の場合 150 点
    – その他の場合 75 点
  • ● (新) 在宅緩和ケア充実診療所・病院加算(在宅がん医療総合診療料) 150 点

 

また、施設の基準については、下の表のような要件が設けられました。

※「施設」とは、既述のとおり「緩和ケアに関する十分な経験を有し、十分な緊急往診や看取りの実績を有する保険医療機関」のことです
※下図は、公式文書をわかりやすい文章に直したものです。全文引用ではありません。全文はこちらから。

 

(1)  機能強化型の在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の届出を行っている
(2) 過去 1 年間の緊急往診の実績を 15 件以上 & 在宅での看取りの実績を20 件以上有する
(3) 緩和ケア病棟又は在宅での1年間の看取り実績が 10 件以上の保険医療機関において、3か月以上の勤務歴がある常勤の”在宅医療担当”医師がいる
(4) オピオイド系鎮痛薬を用いた適切な鎮痛療法の実績がある

ex. 末期の悪性腫瘍等の患者であって、鎮痛剤の経口投与では疼痛が改善しないものに、患者が自ら注射によりオピオイド系鎮痛薬の注入を行う鎮痛療法を実施した実績を過去1年間に2件以上有するなど

(5) 「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針に準拠した緩和ケア研修会」又は「緩和ケアの基本教育のための都道府県指導者研修会等」を修了している常勤の医師がいる
(6) 患者に対して必要な情報提供がなされている

ex. 院内等において、過去 1 年間の看取り実績及び十分な緩和ケアが受けられる旨の掲示をするなど

 

 

・「在宅療養実績加算」に関する改定の具体的内容

 

次に、「在宅療養実績加算について、実績の段階等に応じた評価の精緻化を行うとともに、医学総合管理料の見直しに伴う評価の見直しを行う」という改定の具体的内容です。

こちらは、下の表の通りです。

 

 

現 行 改訂案
【在宅療養実績加算】 【在宅療養実績加算】
①在宅療養実績加算(緊急、夜間又は深夜の往診) 75点 ①在宅療養実績加算1(緊急、夜間・休日又は深夜の往診) 75点
(新設) ②在宅療養実績加算2(緊急、夜間・休日又は深夜の往診) 50点(新)
②在宅療養実績加算(ターミナルケ
ア加算) 750点
③在宅療養実績加算1(ターミナルケア加算) 750点
(新設) ④ 在宅療養実績加算2(ターミナルケア加算) 500点(新)
③ 在宅療養実績加算(在宅時医学総合管理料)
ア)同一建物居住者以外の場合 300点
(新設)
イ)同一建物居住者の場合 75点
⑤ 在宅療養実績加算1(在宅時医学総合管理料)
ア)単一建物診療患者数が1人の場合 300点
イ)単一建物診療患者数が2~9人の場合 150点(新)
ウ)その他の場合 75点
(新設) ⑥ 在宅療養実績加算2(在宅時医学総合管理料)
ア)単一建物診療患者数が1人の場合 200点(新)
イ)単一建物診療患者数が2~9人の場合 100点(新)
ウ)その他の場合 50点(新)
④ 在宅療養実績加算(特定施設入居時等医学総合管理料)
ア)同一建物居住者以外の場合 225点
(新設)
イ)同一建物居住者の場合 56点
⑦ 在宅療養実績加算1(施設入居時等医学総合管理料
ア)単一建物診療患者数が1人の場合 225点
イ)単一建物診療患者数が2~9人の場合 110点(新)
ウ)その他の場合 56点
(新設) ⑧ 在宅療養実績加算2(施設入居時等医学総合管理料)
ア)単一建物診療患者数が1人の場合 150点(新)
イ)単一建物診療患者数が2~9人の場合 75点(新)
ウ)その他の場合 40点(新)
⑤ 在宅療養実績加算(在宅がん医療総合診療料) 110点 ⑨ 在宅療養実績加算1(在宅がん医療総合診療料) 110点
(新設) ⑩ 在宅療養実績加算2(在宅がん医療総合診療料) 75点(新)
[施設基準] [施設基準]
在宅療養実績加算
① 機能強化型ではない、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であること。
② 過去1年間の緊急往診の実績が10件以上かつ看取りの実績が4件以上であること。
在宅療養実績加算1
① 機能強化型ではない、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であること。
② 過去1年間の緊急往診の実績が10件以上かつ在宅での看取りの実績が4件以上であること。
(新設) 在宅療養実績加算2
① 機能強化型ではない、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であること。
② 過去1年間の緊急往診の実績が4件以上かつ在宅での看取りの実績が2件以上であること。
③ 緩和ケアに係る適切な研修を修了している常勤の医師がいること。

 

 

まとめ

 

以上が、「看取り」に関わる改定項目(「在宅医療における看取り実績に関する評価の充実」)の整理になります。

まだまだ改定から間もないため、独自の解釈は控えております。

今後、業務等で改定にかかわる疑問が出てきたときには、ビーナースでざっと把握していただければ幸いです。

 


◎その他おすすめ記事はこちらです

 

【訪問看護に係る診療報酬改定2016まとめ】

【緩和ケア係る診療報酬改定2016まとめ】

2030年の「看取り難民」問題、その本質とは?(1)

 


 

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