平成28年度(2016年)の診療報酬改定では、
在宅領域(在宅医療・訪問看護・(ホスピス)緩和ケア・看取り)に関わる制度改定が多数行われました。
これは、在宅領域が医療・看護・介護業界に関わる”すべて”の方々に大きな影響があることを意味します。
しかし、webサイトでは、政府資料のペーストがされているのみで、情報が整理されているとは言い難いのが実情。
そこで、ビーナースが他サイトに先駆け、「在宅」にかかわる診療報酬改定項目を順次見やすい形に整理していきます。
今回は、中でも「(ホスピス)緩和ケア」に関わる改定項目(「地域がん診療病院・小児がん拠点病院の評価」)を、用語解説を含めてご説明します!
※公式資料はこちら(本記事に関連するのはp199-200)
画像出典:time.com
本記事の目次
「地域がん診療病院・小児がん拠点病院」とは?
まずは、「地域がん診療病院」や「小児がん拠点病院」の現況から述べていきます。
地域がん診療病院について
「地域がん診療病院」とは、「拠点病院のない2次医療圏で、基本的がん診療を行う病院」のことです。
なお、地域がん診療病院は、平成26年度から推進されている「新たながん診療提供体制」に基づく「がん診療連携拠点病院等」に含まれるものです。
「がん診療連携拠点病院等」とは、下記の定義に依ります。
全国どこでも質の高いがん医療を提供することができるよう、全国にがん診療連携拠点病院を399箇所、地域がん診療病院を28箇所、指定しています(平成28年4月1日現在) ※厚生労働省のサイトより引用
なお、拠点病院については「原則として二次医療圏に1か所程度」を目安に整備が進められているようです。(参照・引用元)
画像出典:medwatch.jp
小児がん拠点病院について
「小児がん拠点病院」とは、
・「造血器腫瘍年間10例程度以上、固形腫瘍年間10例程度以上(うち脳・脊髄腫瘍が2例程度以上)」という診療実績や、
・「小児がん拠点病院の整備について」(平成 24 年 9 月 7 日健発 0907 第 2 号)の拠点病院の指定要件
などを満たす病院のことです。(参考文献)
小児がんの症例を集積し、効果的な研究・治療を行うため、現在全国に15の「小児がん拠点病院」が整備されています。
(詳細は下図)
画像出典:medwatch.jp
がん拠点病院に関する診療報酬改定の背景
拠点病院に準じた診療報酬を設定することで経済的なサポートが得られ、さらなる地域がん診療病院などの整備が進み、空白医療圏が減少することが期待されています。
「地域がん診療病院・小児がん拠点病院の評価」の概要
では、「地域がん診療病院・小児がん拠点病院」の意味について確認したところで、改定項目の内容に触れていきましょう。
・本改定の趣旨
緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価について
・本改定の基本的な考え方
がん医療のさらなる均てん化のため、今般整備された「地域がん診療病院」についても、その体制を評価する。
また、小児がん医療の診療機能を集約化することを目的として、小児がん医療に必要な診療機能を備えた「小児がん拠点病院」についても、その体制を評価する。
・改定項目概要
現在、がん診療連携拠点病院について評価している項目において、地域がん診療病院及び小児がん拠点病院についても評価する。
下記、具体的内容をまとめた図を先にお見せします。
(こちらの図が、本改定の事実関係を端的に表しています)
画像出典:medwatch.jp
「複数の実施主体による訪問看護の組合せの整理」の具体的内容
本改定では、具体的には、下の表のような改定が行われました。
現 行 | 改定案 |
【がん診療連携拠点 病院加算】(入院初日)がん診療連携拠点病院 加算 500点(新設)(新設)【がん治療連携管理料】 (1人につき1回限り)がん治療連携管理料 500点(新設)(新設)
【がん治療連携計画 [施設基準] がん診療連携拠点病院
|
【がん拠点病院加算】 (入院初日)1 がん診療連携拠点病院加算 イ がん診療連携拠点病院 500点 ロ 地域がん診療病院 300点(新) 2 小児がん拠点病院加算 750点(新)【がん治療連携管理料】(1人につき1回限り)1 がん診療連携拠点病院の場合 500点 2 地域がん診療病院 の場合 300点(新) 3 小児がん拠点病院 の場合 750点(新)【がん治療連携計画 策定料】[施設基準] がん診療連携拠点病院、地域がん診療 病院若しくは小児 がん拠点病院 又は都道府県が当該 地域においてがん診療の中核的な役割 を担うと認めた病院 であること。 |
「地域がん診療病院・小児がん拠点病院の評価」 まとめ
以上が、「(ホスピス)緩和ケア」に関わる改定項目(「地域がん診療病院・小児がん拠点病院の評価」)の整理になります。
まだまだ改定から間もないため、独自の解釈は控えております。
今後、業務等で改定にかかわる疑問が出てきたときには、ビーナースでざっと把握していただければ幸いです。
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