平成28年度(2016年)の診療報酬改定では、
在宅領域(在宅医療・訪問看護・(ホスピス)緩和ケア・看取り)に関わる制度改定が多数行われました。
これは、在宅領域が医療・看護・介護業界に関わる”すべて”の方々に大きな影響があることを意味します。
しかし、webサイトでは、政府資料のペーストがされているのみで、情報が整理されているとは言い難いのが実情。
そこで、ビーナースが他サイトに先駆け、「在宅」にかかわる診療報酬改定項目を順次見やすい形に整理していきます。
今回は、中でも「(ホスピス)緩和ケア」に関わる改定項目(「緩和ケア病棟における在宅療養支援の充実」)を、用語解説を含めてご説明します!
※公式資料はこちら(本記事に関連するのはp202-203)
画像出典:sagara.or.jp
本記事の目次
「緩和ケア病棟」について
本記事で取り上げる「緩和ケア病棟における在宅療養支援の充実」においては、
「緩和ケア病棟」の概念が非常に重要となります。
そのため、本記事ではまず「緩和ケア病棟」について簡単にご説明します。
※参考記事(ビーナース):「ホスピスとは?」
緩和ケアとは?
前回(「がん治療中の外来患者の在宅医療への連携の充実」)の復習になりますが、厚生労働省HPでは、緩和ケアに下記のような説明が付されています。
がん患者とその家族が、可能な限り質の高い治療・療養生活を送れるように、身体的症状の緩和や精神心理的な問題などへの援助が、終末期だけでなく、がんと診断された時からがん治療と同時に行われること
※「緩和ケア」についての正確な定義はこちらを参照のこと
緩和ケア病棟とは?
上記のように、緩和ケアとは「がん患者とその家族が、可能な限り質の高い治療・療養生活を送れるように、身体的症状の緩和や精神心理的な問題などへの援助が、終末期だけでなく、がんと診断された時からがん治療と同時に行われること」を指します。
したがって、「緩和ケア病棟」とは、上記の意味での「緩和ケア」を専門的に扱う病棟というのが、直接的な定義となります。
ただし、これでは味気がないので、少々補足を加えるならば、下記のような特徴があります。
-
・生命を尊重し、「死への過程」に敬意を払う
-
・死を早めることも、引き延ばすことも行わない
-
・痛みなどの苦痛を緩和する
-
・患者の心理的・社会的側面に対するサポートを行う
-
・死が訪れるまで、患者が人生を積極的に生きてゆけるようにサポートを行う
-
・家族が患者の病気や死別後の生活に適応できるようにサポートを行う。
※kokoMedより引用
では、このような緩和ケア病棟はいつから始まったのでしょうか。
また、近年の動向はどのようになっているのでしょか。
そのあたりを後述していきます。
緩和ケア病棟をめぐる社会的動向
日本におけるホスピスの始まりは、1970年代頃から、がんの終末期の患者さんを対象にした、緩和ケアを提供する専門の病床や病棟が登場してきたことにあります。
1990年になると、医療保険制度の診療報酬に「緩和ケア病棟入院料」が設けられ、ホスピスでの緩和ケアが健康保険で受けられるようになったのです。
緩和ケア病棟は、1990年にはわずか5施設で、病床数も117床に過ぎませんでした。
しかし、その後は着実に増え続け、2012年11月時点では、257施設、5101床に増えています。
(参考・引用元)
緩和ケア病棟の施設基準について
では、緩和ケア病棟にはどのような公的基準が設けられているのでしょうか。
こちらは、診療報酬の算定基準に照らして考えるのが妥当でしょう。
施設基準については、日本ホスピス緩和ケア協会が、
「緩和ケア病棟入院料の施設基準」と「緩和ケア診療加算に関する施設基準」の2種類について
詳述してくれていますので、ご参照ください。
「緩和ケア病棟における在宅療養支援の充実」の概要
それでは、「緩和ケア病棟における在宅療養支援の充実」の改定項目の内容に触れていきましょう。
本改定の趣旨
緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価について
本改定の基本的な考え方
緩和ケア病棟が、在宅緩和ケアを受ける患者の増悪時に緊急入院できるなど、
在宅生活を支援する役割を果たすことができるよう、
緩和ケア病棟における地域連携の取り組み等について評価する。
改定項目概要
進行がん患者で、在宅で緩和ケアを行っている患者が緩和ケア病棟を有する病院に緊急入院した場合に、
15 日を限度として「緊急入院初期加算」を新設する。
また、入院中の放射線治療や退院した月の在宅療養指導管理料を別に算定できることとする。
「緩和ケア病棟における在宅療養支援の充実」の具体的内容
本改定の具体的内容は、下図の通りです。
「緩和ケア病棟における在宅療養支援の充実」 まとめ
以上が、「(ホスピス)緩和ケア」に関わる改定項目(「緩和ケア病棟における在宅療養支援の充実」)の整理になります。
まだまだ改定から間もないため、独自の解釈は控えております。
今後、業務等で改定にかかわる疑問が出てきたときには、ビーナースでざっと把握していただければ幸いです。
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