矢印は、自分でもロールモデルでもなく目標に向けるもの【がんと暮らしを考える会・賢見卓也理事長インタビュー3】

現役看護師に伝えたいこと

 

――現在病棟で働く看護師さんに伝えたいことがあれば、お聞かせいただけますでしょうか?

 

伝えたいこと。。。難しいですね。

 

――そうですね・・・モヤモヤしている看護師さんに対して、自分の場合はこうすればモヤモヤが楽になったよといった部分をお教えいただければ。

 

一番大きいのは、「気づいた人がやれ!」という話ですね。

それでいいんじゃないかなと思います。

 

大抵の場合、モヤモヤしている原因は「行動しないこと」にあるように思います。

「こういう医療はおかしい」と思ったんだったら、おかしくない方向に動かす努力をすればいいし、「自分はこういう風にしたいんだ!」と思うんであれば、そうできるように動けばいい。

あるいは、「患者さんにこういうところで過ごしてほしいな」と思うんであればそれをやってみればいい。

 

やり方の問題はあるので、そこは工夫しながら上手くいくようにするしかないと思っています。

ただ、「やる」という選択をした結果として力尽きても、後悔はしないのではないかな、と

冷たいように思うかもしれませんが、「モヤモヤしたままでも自分自身が壊れていっちゃうでしょ?」という話でもありますので、気づいたのにやらないということが大きいと思います。

 

加えて、提供者側にいる私たち看護師も「将来的には患者になる」という点は重要だと思います。

将来の自分は、今教えている後輩看護師たちやその後輩の看護学生たちの看護を受けます。

自分が将来受けたいなと思う医療や看護を、現役のうちに理想に近づけておくことができるわけです。

将来の自分が受けたい看護を今から作っていけるとしたらとても幸せなことです。

 

男性看護師であること

 

――最後にもう一つ。賢見さんは男性の看護師ですが、男性であることが良かったなあとか、あるいは良くなかったなあとか、特筆すべきことがあればぜひ教えていただきたいです。

 

「男性看護師であることにアイデンティティをもってない男性看護師」はみんな立派です

 

――そうなんですね・・・!

 

逆に、男性看護師であることを気にしていないくらいの人は面白いことを考えていることが多いです。

自分の性別だけにアイデンティティを持つのは、まだ課題が明確でない方も少なくありません。

 

――アイドルみたいな感じですよね。

 

アイドルというか、本来のケアギバーとしての立ち位置が不安定な場合、矢印が自分に向いていることがあります。

これは男女関わらず陥りがちです。

僕の場合は、男性をウリにしたことはありませんが、矢印が自分に向いている経験は短くはなかったと思います。笑

 

僕が看護師になろうと思った時って、「男性看護師が物珍しく見られる」時期で、その時に心が折れなかった人たちは、マイナーな存在であることが障壁になってないんです。

男女問わず、ロールモデルを忘れ、自分がどう見られているかも忘れ、ライバル視するような人の存在も忘れ、ひたすら目標に向かっている姿はかっこいいですよ。

ただ、意外と人って成長するので、そういう時期もプロセスの1つかもしれません。僕もそういう風に見られているのかもしれません。笑

 

でも性別は関係ないと思うし、年齢も関係ない

本当に年齢は関係ないですね。

まあ30までは相対的に関係あるようにも思いますが、30を過ぎれば、やってる人はちゃんとやってるし、考えている人は考えているという印象です。

 

――「考えている」男性看護師の方の今後のご活躍には、ますます期待がかかりますね!

 

そもそも業界をここまで広げてやってきた人たちの多くは女性なので、男性はまだまだ主食にはならないように思います。業界の「ふりかけ」ですかね。

しっかり味付けできることが期待されているかもしれません。笑

本当に(そうした考え方の看護師が)活躍できるようになればいいですし、そこまでの影響力が出てくるのが当たり前になるといいですよね。

自分も精進していきたいと思います。

 

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