どのような場所で最期を迎えることになっても、看護師という職種は当事者や家族を支える一人になります。
目の前の患者さんが死を迎える前に、何かできることはないだろうか、そんな想いがきっかけでターミナルケアの分野に興味をもつ看護師も少なくはないでしょう。
では、いったいどういう働きをしているのでしょうか。
今回は、ターミナルケアにおける看護師の役割について考えてみましょう。
※ターミナルケアって何?と思った方はこちらへ!→似ているようで違う、「ターミナルケア」と「緩和ケア」の違いについて
画像出典:answersforelders.com
【ターミナルケアにおける看護師の役割①】看護専門性によるケアの実施
患者さんの問題、全てを取り扱う
ターミナルケアにおいては、患者本人の身体的・精神的苦痛を取り除き、残された日々をいかに充実させて本人らしく生きていくかが重視されます。
看護師は、その専門性から疾患に関わる視点だけではなく、その人のおかれている環境や心理的な側面など患者本人を全人的に評価(アセスメント、見立て)を行い、そこから抽出された課題に対して看護計画を立てケアを行っていきます。
医師の指示のもと、疼痛緩和のための点滴などの医学的処置を行う他、入院生活・在宅生活での生活レベルでのニーズなどを拾い上げます。
看護計画に組み込む場合もあれば、必要な職種に繋ぐということ。
このケア内容は、定期的に見直しを行いながら、症状の経過やニーズに合わせて柔軟に変更していくことになります。
【ターミナルケアにおける看護師の役割②】家族への支援
しっかりとした状況説明をし、家族の不安も取り除く
ターミナルケアにおいては、本人だけではなく患者さんを支えることが大切です。
いつか患者さんが旅立った後、自分たちの人生を歩んでいくことになる家族への支援も大きなポイントになると思われます。
その時重要なのが、本人や家族の意向です。
医師からの説明を受け、必要に応じて同意書を交わしたとしても、すぐに緊急事態が起こるわけではありません。
そして、すぐに現状を受け入れられるわけでもありません。
日々を過ごす中で、迷いや見通しのなさから不安感が繰り返し訪れてもおかしくはないのです。
看護師は患者や家族に身近に寄り添える職種です。
現在の状況の説明を行い、本人だけではなく家族についても不安感を和らげる役割も担っています。
▶ 次ページへ:ターミナルケアにおける看護師の役割その3とは??
関連する記事
看護師の人間関係を円滑に! 嫌だと思われない部下への指導フレーズ5選
看護師の仕事は妥協が許されず、後輩や新人に厳しく指導しなければならないこともしばしば。ただ、指導や注意をされる側は、良い気持ちではない上、叱る側も嫌だと思われたくないのは皆同じでしょう。ここでは、そんな後輩・新人(部下)への嫌だと思われないような注意フレーズ(指導法)を3パターンに分けて、5つご紹介します!
【梅田恵先生インタビュー第3回】「日本のナースは世界一」
イギリスに行き「緩和ケアの影」とでもいうべきものを見破ろうとしていた梅田先生。そんな先生は、どのような経験を経てどのように心境が変わったのでしょうか。そして、イギリスとの比較して、日本の看護は先生にどう映るのでしょうか。
【梅田恵先生インタビュー第4回】「看護師は、自分の幸せも大事に」
梅田先生インタビューシリーズ最終回となる今回は、緩和ケアの現状や今後の緩和ケア、そして現役のナースの皆様へのメッセージをご紹介します。特に、日本の緩和ケア黎明期における梅田先生の体験談はインタビュワーであることを忘れてしまうほどで、最終回の今回も見所満載です!
【岩本ゆりさんインタビュー第2回】看護師のアイデンティティーってなんだろう?
今回は、岩本さんの過去を紐解いていきます。特に、「看護師のアイデンティティーとはなんだろう?」と自問自答する岩本さんの姿勢からは、学ぶべき点がたくさんあるはず!
【ホームホスピス神戸なごみの家(代表)松本京子さんインタビュー第1回】「暮らしの現場で看護の力を」
ホームホスピス神戸なごみの家と訪問看護ステーション、デイサービスなどを経営・管理される松本京子さんにインタビューに伺ってきました。第1回では、松本さんが現在何をしているのか、どういった経緯で現在に至ったのかという点についてご紹介致します。