特定看護師とは? 看護師の幅が広がる「資格」について概説します

 

最近よく「特定看護師」って耳にしますが、実際どのようなものかご存知ですか?

看護師の方も特定看護師になると、実際どのような変化が起きるのか理解出来ている人が少ないのが現状です。

「なぜこのような制度が作られたのか」、「制度の具体的内容」など、特定看護師について本記事を読めば理解できるようにお伝えさせていただきたいと思います。

 

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画像出典:sagennext.com

 

特定看護師とは

 

特定看護師の定義

 

特定看護師とは2015年10年から始まった特定行為に係る看護師の研修を修了した看護師のことを指します。

以下に厚生労働省のHPを引用させていただきます。

 

団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、今後の医療を支えるために保健師助産師看護師法の一部改正によって、平成27年10月1日から手順書により特定行為を行う看護師に対し、「特定行為研修」の受講が義務づけられました。新たな研修制度は、看護師が手順書により行う特定行為を標準化することで、今後の急性期医療から在宅医療等を支えていく看護師を計画的に養成することを目的としております。

 

簡単に言うと「特定行為研修を受けた看護師は、医師の判断を待たずに自らの判断で患者様に対応できる範囲が広くなる」ということになります。

 

特定看護師という資格は存在しません。

 

勘違いが多いポイントなのですが、上でも述べたように、特定看護師とは「特定行為研修を修了した看護師」ということなので、正式な資格がある訳ではありません。

しかし、特定行為研修を修了した看護師を「特定看護師」と呼ぶことは全く問題はありません。

また本記事でも、わかりやすいように「特定看護師」という言葉を使用させていただきます。

 

特定看護師の目的

 

厚生労働省のHPでは以下のように述べられています

 

2025年に向けて、さらなる在宅医療等の推進を図っていくためには、個別に熟練した看護師のみでは足りず、医師又は歯科医師の判断を待たずに、手順書により、一定の診療の補助(例えば脱水時の点滴(脱水の程度の判断と輸液による補正)など)を行う看護師を養成し、確保していく必要があります。
このため、その行為を特定し、手順書によりそれを実施する場合の研修制度を創設し、その内容を標準化することにより、今後の在宅医療等を支えていく看護師を計画的に養成していくことが、本制度創設の目的です。

 

高齢化が進む日本において、在院期間の短縮化を進める国の方針もあり、病院で治療を受けるよりも、在宅医療を受ける人が多くなることが予想されています。

在宅医療を進める為には、医師が毎回往診するのではなく、医学的な教育を受けた看護師が特定の行為を行うことが求められています。

また、医師が対応できない状況においても、すぐに対応できるという観点においても、必要とされてきています。

 

特定看護師の業務内容

 

特定看護師とは「手順書に従い、特定行為を行なうことのできる看護師のことを指す」とありますが、「手順書特定行為」とはどう言ったものなのか、また、特定看護師になることでどのような変化があるのかご紹介させていただきます。

 

特定看護師における手順書とは

 

厚生労働省HPでは以下のように述べられています。

 

手順書は、医師・歯科医師が看護師に診療の補助を行わせるために、その指示として作成する文書または 電磁的記録のことです。

医師・歯科医師は手順書を適用する際に、患者さんと看護師を特定します。

各医療現場の判断で、具体的内容を追加することもできます。

 

つまり、医療行為を行なう医師・歯科医師が看護師が特定行為を行なう為に作る説明書のようなものですね。

 

特定看護師が行なう特定行為とは

 

特定行為とは、診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる次の38行為です。

(注)「歯科医行為」の場合は「医師」を「歯科医師」と読み替えるものとする。

 

画像③特定行為_区分

画像出典:medical.nikkeibp.co.jp

 

特定看護研修前と後の変化

 

厚生労働省が発表したリーフレットの中では、特定看護研修を受けることで業務がどのように変わるかを、脱水症状の患者のケーススタディを用いて解説しています。

 

画像出典:kango-roo.com

 

研修受講前後で看護師の対応は大きく変わり、特定行為の導入によってタイムリーなケアを行うことができるようになるようです。

 

 

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