医療の進め方については、本人ではないとできない、あるいは、すごく面倒な手続きが意外と多いもの。
その点、イギリスでは、本人の意思を尊重することを重視する「意思決定能力法(MCA)」というものがあります。
今回はイギリスの意思決定能力法(MCA)に触れながら、日本の制度についても紹介します!
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画像出典:medscape
本記事の目次
イギリスで制定された意思決定能力法(MCA)とは
2005年に制定された、本人重視型の後見人制度
2005年以前のイギリスでは、判断能力が不十分であるとされた人々に対しての後見人制度は国家による管理である時代が長く続いていました。
しかし、2005年に制定された意思決定能力法(MCA)では、「国民すべての人が、自分で決定し、人生を決める権利がある」という考え方となりました。
意思決定能力法(MCA)の特徴は「本人中心主義」
意思決定能力法(MCA)の大きな特徴は、たとえ本人の判断が難しい場合でも「本人中心主義」に軸を置いていること。
ここでの原則は、本人にとって、最も良い方向性は何か、を周囲の人々が追及していくことです。
周囲の人々とは、家族や親族、介護者、医療関係者、任意後見人、法定後見人など。
まだまだ具体的な仕組みができているとは言い難いようですが、「今、なぜ、この人は伝えられないのか?」を簡単に結論づけず、本人が意思を伝えられるような環境を整えたり、信頼関係を作るところも大切なようです。
イギリスの「本人中心主義」の一例:任意後見制度
イギリスの多くの人は、任意後見制度(LPA)を利用している
任意後見制度(LPA)は、判断のできるうちに自らの意思で選択決定をしておく制度です。
日本での手続きは、公正証書を作るなど、正直面倒なのですが、イギリスでは極手軽にできるということで利用者が増えています。
イギリスの任意後見制度(LPA)の申請書作成はウェブサイトでできる
なんと、任意後見制度(LPA)の申請書はウエブサイト上で作成することができます。
簡単であるがゆえのリスクはあるかもしれませんが、それでも「自分の意思で決められる」という権利を活かせているのではないでしょうか。
日本での制度について
日本での制度利用はまだまだ一部分
日本では病気や障害によって、判断能力が不十分とされる人々に対して、法定後見人制度や、任意後見人制度というものがあります。
一般的には、まだまだ普及しているとは言えない制度ですが、2015年の利用申し立ては過去最多の約3万5千件となりました。
しかし、認知症患者だけで推計460万人と考えると、利用者としては極一部と考えられます。
また、後見人による不正が多い状態でもあり、改善が必要な制度と考えられます。
制度の利用に関わらず信頼関係をつくることは意思をひきだす
制度の利用については、現場でも検討されることがあるのではないでしょうか。
看護師は、当事者の方に、身近に寄り添える職種のひとつです。
ご本人の意思を引き出せているか、普段のかかわりを見直してみてはどうでしょうか。
画像出典:cgmhf
意思決定能力法(MCA)〜まとめ〜
イギリスでは、判断能力が不十分とされる人々に対しても、本人の意思を尊重するという意思決定能力法(MCA)があります。
日本では、まだまだ制度利用は不十分ですが、「看護師」はいつも身近に寄り添える職種のひとつ。
ご本人の意思について、コミュニケーションについて見直すとき、ぜひ参考にしてみてください。
参考:日本経済新聞:「成年後見制度、普及へ改革急務」
参考:QOL:【世界の成年後見制度(4)】イギリス編〜「Choice not Chance」(運任せではなく、自ら選択しよう)
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