訪問リハビリテーションの必要性
訪問リハビリテーションを”施す”または”受ける”ことは、
被介護者のみならず、訪問看護師をはじめとする医療従事者にも好影響を及ぼします。
被介護者等にとっての必要性
WHOによる国際生活機能分類(ICF:International Classification of Functioning, disability and health)では、
人が生きていくための機能全体を「生活機能」として捉え、次の3つの要素から成るものとしています。
①体の働きや精神の働きである「心身機能」、
②ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」、
③家庭や社会生活で役割を果たすことである「参加」
画像出典:labo-yamada.com
この3つの要素を勘案すると、下記のように「生きがい・役割を持って生活できる地域の実現」が必要となり、
その(地域の)中では、介護予防につながる「(暮らしにおける)リハビリテーション」が非常に重要なものとなるのです。
これまでの介護予防の手法は、身体機能を改善することを目的とした機能回復訓練に偏りがちであり、
介護予防で得られた活動的な状態をバランス良く維持するための活動や社会参加を促す取組
(多様な通いの場の創出など)が必ずしも十分ではなかったという課題がある。このような現状を踏まえると、これからの介護予防は、機能回復訓練などを通じた高齢者本人への取組だけではなく、
生活環境の調整や、生きがい・役割をもって生活できるような居場所・出番のある地域づくりなど、
高齢者本人を取り巻く環境への取組も含めた、様々な取組が重要となる。このような効果的な取組を実践するため、地域においてリハビリテーション専門職等を活かした自立支援に資する取組を推進し、
要介護状態になっても、生きがい・役割を持って生活できる地域の実現を目指す必要がある。
※厚生労働省資料『高齢者の地域における新たなリハビリテーションの在り方検討会報告書』(H27.3)より引用
医療従事者にとっての必要性
当然のことながら、患者さんや生活者のQOL向上は医療従事者にとっても重要ですが、ここで挙げたいのは「技術的な側面」です。
訪問リハビリテーションは、「医療機関では行うことができない実際の生活場面に即した能力的な部分へのアプローチを行っていくことができるサービス」と言われることがあります。
つまり、
- ・「昨日は〇〇を噛むことが出来なかったが、今日は出来るようになった」
- ・「1か月前は離床できなかったが、最近出来るようになった」
- ・「褥瘡が最近なくなった」
といった実生活におけるサポートが出来るのです。
これは、訪問看護師はもちろん、病棟の看護師さんにとってもかなり有用な知識ではないでしょうか。
※参考インタビュー記事
・訪問看護ステーション経営者兼看護師である松本京子さんのインタビュー記事
→彼女は、リハビリテーションの知識・技術・経験が看護に大変役立ったと述べています。
・福祉用具貸与事業所長山上智史さんのインタビュー記事
→「環境」によって利用者の症状が改善する事例などについて触れられています。
<参考>「リハビリテーション」に関わる業種
リハビリテーションには、さまざまな職種が関わります。
多職種連携が叫ばれる昨今においては、それぞれの職種における役割を想定しながら知識を増やすこと、業務にあたることが重要です。
- ・管理者 (特に通所リハビリテーションの場合)
- ・医師 (特に「リハビリテーション科専門医」)
- ・看護師・訪問看護師・准看護師
- ・介護士
- ・理学療法士/作業療法士
- ・言語聴覚士
- ・支援相談員
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