訪問リハビリテーションをめぐる制度
まずは、政府が2025年に実現を目指すとしている「地域包括ケアシステム」のビジョンを示します。
この中で、訪問リハビリテーションがどのような役割を果たすのかについて想像してみてください。
次に、介護報酬と診療報酬についてご説明します。
冒頭で述べたように、2018年には診療報酬と介護報酬の同時改定が行われます。
それらへの方向性をイメージするため、両者の直近の改定の中でリハビリテーションにかかわる項目をお示しします。
地域包括ケアシステムのビジョン
厚生労働省のHPによれば、地域包括ケアシステムについて下記のように述べられています。
日本は、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しています。
65歳以上の人口は、現在3,000万人を超えており(国民の約4人に1人)、2042年の約3,900万人でピークを迎え、その後も、75歳以上の人口割合は増加し続けることが予想されています。
このような状況の中、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となる2025年(平成37年)以降は、国民の医療や介護の需要が、さらに増加することが見込まれています。
このため、厚生労働省においては、2025年(平成37年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、
可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。
おそらく、上記を読んでいる途中で気づいた方もいるのではないでしょうか。
この「構想」は、リハビリテーションの目指す目的と非常に類似しています。
地域コミュニティの中で、高齢者や障碍者の方々がどのように参加するのか。
あるいは、どのようにして参加できるようにするのか。
ここでも、リハビリテーションないしは訪問リハビリテーションが、他職種と多分に関係する世界がもうすぐそこに迫っていると理解出来たのではないでしょうか。
リハビリテーションに係る平成27年度介護報酬改定
さて、以下は実際の制度に関するご説明になります。
介護報酬は、直近で2015年(平成27年度)に改定されました。
その改定事項の概要は下図の通りです。
リハビリテーションに係る平成28年度診療報酬改定の概要
次に、2016年度の診療報酬改定に関するご説明になります。
下記に、リハビリテーションと関係する個別の診療報酬改定項目を9つ列挙します。
- •初期加算、早期加算の算定要件等の見直し
- •ADL維持向上等体制加算の施設基準の見直し等
- •回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカムの評価
- •摂食機能療法の対象の明確化等
- •廃用症候群リハビリテーション料の新設
- •心大血管リハビリテーション料の施設基準の見直し
- •運動器リハビリテーション料の評価の充実
- •リンパ浮腫の複合的治療等
- •要介護被保険者の維持期リハビリテーションの介護保険への移行(目標設定支援等・管理料の新設)
これらの改定項目を、リハビリテーションの段階ごとに整理したものが、下図になります。
画像出典:厚生労働省資料
訪問リハビリテーションとは? まとめ
上記の訪問リハビリテーションに関するご説明を通して伝えたいことは一つです。
すなわち、「リハビリテーションは普遍性を増す」ということ。
「訪問」という形態は、リハビリテーションの一手法ですし、
たとえば看護師がリハビリテーションの知識が”ほとんどゼロ”というわけにはいかなくなるでしょう。
今後は下記のような需要がますます増えてくるのではないかと思います。
すべてが密接に絡み合うため、総合性が求められる。
しかしながら、何らかの分野では「専門的な強み」が求められる。
「訪問リハビリテーション」についての考察を通して、
医療・看護・介護業界にもそうした波が押し寄せてきたことを実感できたなら幸いです。
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