治療方法や薬が進歩した今、「エイズ=死ぬ病気」ではなくなってきています。
薬を飲み続ければエイズの発症を抑え、それまでと変わらない生活ができる為、ホスピスにおけるエイズ患者さんが占める割合は、少なくなってきています。
ただし今のところ、エイズは完治することができない病気であり、「エイズ患者さんにとってのホスピス」の必要性が無くなったとは言えません。
本記事ではそんなエイズに関わる基礎知識と、エイズにおけるホスピス治療を3回にわたってご紹介します。
各回の題目は以下の通りです。
第1回:エイズとは
画像出典:revistaforum.com
『ホスピスとエイズの基礎知識』 第1回:エイズとは
1.エイズとは
HIV(エイチアイブイ)はウイルスの名前であり、AIDS(エイズ)とはHIVに感染することによって発症する病気のことを指します。
ヒトの体を様々な細菌やウイルスから守る機能を免疫と呼びますが、HIVは免疫の働きを助ける役目を持つCD4陽性リンパ球に感染し、破壊するウイルスなのです。
ヒトの体の中のHIVが増えてくると同時に、免疫細胞が徐々に減っていきます。
そうすると、体の免疫力が低下して、健康な状態ではかからない様々な病気にかかりやすくなります。
病気には代表的な疾患が23個決められていて、それらの1個以上を発症した状態をAIDS(エイズ)と呼びます。
図.HIVがCD4陽性リンパ球を破壊する流れ
図.23個のエイズ指標疾患
(出典:北海道HIV/AIDS情報、http://hok-hiv.com)
2.日本のエイズ患者
厚生労働省によると、日本では2014年末の時点で、HIV感染者は16903人、AIDS患者は7653人で合計24651人が報告されています。
2014年の1年間、新たなHIV感染者数は1091人、新たなAIDS感染者数は455人であり、合計1546人が新たな感染者として報告されています。
ここ数年はHIV・AIDSの合計患者数が1500人単位で年々増加しています。
図.2014年までのHIV+AIDSの患者数(報告ベース)
(出典:厚生労働省エイズ動向委員会、http://api-net.jfap.or.jp)
3.日本人のエイズに関する知識浸透度
日本において年々増えているエイズ患者ですが、日本人はエイズについて正しい知識を持ち、対策を行っているのでしょうか?
東京都において、「エイズに関する6つの基本知識を知っているか否か」に対する調査を行った結果を下図に示しました。(無作為に選んだ約2000人に対して調査)
図.エイズに関する知識浸透度
上の図から、「性感染症にかかるとHIVにかかりやすくなる」、「HIVの検査は、感染してから60日以上経たないと、検査が正しく出ない」について知らないと回答した人は、全体の約8割であることがわかります。
いずれもエイズ感染のメカニズムに関する知識であり、日本人の多くが欠落していることは大きな問題だと言えるでしょう。また、他の知識についても浸透度が高い水準にあるとは言えない状況です。
以上の結果から、日本においてエイズ患者が増える1つの要因として、エイズに対する知識不足が考えられます。
次回「『ホスピスとAIDS(エイズ)の基礎知識』 第2回:AIDSの感染原因」では、エイズはどういった理由で感染するのか? どういう対策が必要なのか? といった点をご説明します。
ご自身のAIDS(エイズ)予防の為にも、是非ご覧下さい。
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