ALS
この言葉を聞いて何のことかわかるでしょうか?
聞いた事は有るけど人に説明できない という方が多いのではないでしょうか?
ALSとはAmyotrophic Lateral Sclerosisの略称で、筋萎縮性側索硬化症という病気のことです。
最近ではこのALSに羅患している方への寄付金を募る為、アイスバケツチャレンジが世界中で流行りましたね。
これは裏を返せば、ALSという病気が多額の寄付金を必要とするほどの治療が必要である病気、
すなわちそれだけの難病であるとも考えられます。
本記事では、ALSの基礎知識からALSに関する最新医療情報までを3回でコンパクトに、そして濃くご紹介します。
『ALSの基礎知識』シリーズの目次
第1回:ALSとは
ALSとは
日本語病名で筋萎縮性側索硬化症。
「筋肉の動きを支配する脊髄の運動ニューロンが侵され、筋肉を動かそうとする信号が伝わらなくなる」という難病です。
よって身体を動かせなく成る為、筋肉が次第に細っていきます。
出典:http://www.als.gr.jp/public/als_about/about_01.html
人間の手や足、顔など、自分の思いどおりにからだを動かすときに必要な筋肉を随意筋といい、随意筋を支配する神経を運動ニューロンといいます。
ALSでは運動ニューロンは侵されますが、知覚神経や自律神経は侵されないので、原則として五感(視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚)・記憶・知性には障害はみられません。
これはどういう事かというと,例えば皮膚をつねられたとき、痛いと感じ手をひっこめる動作をします。
この時痛いと感じるのは「知覚神経」、手をひっこめるのは「運動ニューロン」の働きです。
ALSになると痛いという感覚はありますが、手をひっこめることができなくなります。
出典:als.gr.jp
この病気の恐ろしい所は、運動ニューロン侵食の進行が極めて速く、患者の半数ほどが発症後3年から5年で呼吸筋麻痺により死亡する点にあります。
呼吸は、自律神経と随意筋である呼吸筋の両方が関係するので呼吸筋が次第に弱くなって呼吸が困難になります。
(心臓や消化器も筋肉でできていますが、随意筋ではない為、原則障害は現れません。
心臓の動き・胃や腸での食べ物の消化は、無意識に自動的に働いており、これを支配しているのが「自律神経」だからです。)
ALSの症状
運動ニューロンは脊髄にあって、 手・足・舌・のど・呼吸を司る全身の随意筋を支配しています。
どの運動ニューロンが侵され、どの筋肉が弱くなるかによって、 最初にあらわれる症状は大きく2つのタイプに分かれます。
運動障害
手足の動きに異常をきたすことです。ALS患者の初期症状の多くはこの運動障害が多いといわれています。
最初は、箸が持ちにくい、重いものを持てない、手や足が上がらない、走りにくい、疲れやすい、手足の腫れ、筋肉のピクツキ、筋肉の痛みやつっぱりなどの自覚症状を感じます。
これはALSに特徴的な症状の一つで、手足の麻痺による運動障害の初期の症状です。このような症状がみられるとともに、手や足の筋肉がやせ細ってきます。
球麻痺
舌、のどの筋肉の力が弱まることを球麻痺といいます。。球麻痺によって次のような症状があらわれます。
- コミュニケーション障害:舌の動きが思いどおりにならず、ことばが不明瞭になる
- 嚥下障害:舌やのどの筋肉が弱くなる為、食べ物や唾液を飲み込みにくくなり、むせることが多くなる
初期症状は人によって異なりますが、最初の症状がどれであっても症状が進むとともに、これら4つの症状がすべてあらわれるようになります。
日本におけるALS
日本のALS患者の数は2009年の報告によると8,492人です。
年にもよりますが、毎年平均で数百人ほど増加しています。
出典:als.gr.jp
また、発症年齢は50~74歳に集中しており、男女とも発症のピークは65~69歳となっています。
また男性に多く発症するしているところが特徴的です。
出典:als.gr.jp
まとめ
いかがでしたか?今回は主に
・ALSは運動ニューロンを侵食していく病気であり、その進行は極めて速く、身体の随所に筋肉(随意筋)の運動障害があわられてくること
・患者数は日本において増加傾向であること
をご説明しました。
次回はそんなALSに羅患する原因についてご説明します。