訪問看護ステーションの中で、診療報酬上の厚い保護が与えられる機能強化型訪問看護ステーション。
在宅医療や訪問看護について語る上で避けては通れない制度の一つです。
というわけで、機能強化型訪問看護ステーションとは何かという点につき、これまでの経緯を振り返るなど様々な観点から解説していきます!
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画像出典:nursingprograms.com
訪問看護ステーション立ち上げの人員基準(前提知識)
機能強化型訪問看護ステーションについてご説明の前に、(通常の)訪問看護ステーションの人員基準について述べておきます。
通常の訪問看護ステーションでは、下記の2つの人員基準が設けられています。
- ・常勤の管理者の設置
- ・看護職員(常勤換算方法で2.5人以上)の設置
一部補足しておくと、「常勤の管理者」は、訪問看護事業所ごとに1名配置し、保健師・看護師であることが必要です。
※常勤換算については、こちらの記事(ビーナース)をご覧頂ければ幸いです。
これらを前提とし、「機能強化型訪問看護ステーション」について述べていきます。
機能強化型訪問看護ステーションとは
機能強化型訪問看護ステーションの創設経緯
機能強化型訪問看護ステーションは、2014年度の診療報酬改定によって創設されました。
日本看護協会の齋藤訓子氏は、2014年8月15日の協会ニュースで機能強化型訪問看護ステーションについて次のように述べています。
訪問看護は在宅療養継続の要となるサービスです。
今春の診療報酬改定で、病院の入院料や加算の要件に在宅復帰率が入った影響もあり、今後の利用者像は、医療ニーズに精神疾患や認知症を併せ持つなど、多様化・複雑化していきます。
同様の状況から、在宅で最期を迎える人の増加が考えられ、訪問看護のニーズは高まっていくと予測されます。ところが、訪問看護ステーションの約 60%が 5人未満の小規模ステーションなのが現状です。
規模が小さいほど収支状況が悪く、柔軟な訪問(24時間対応体制、早朝・夜間訪問、土・日曜の訪問など)が行えていません。
一方、大規模ステーションは、看護師 1 人あたりの特別指示書の発行数や看取り数が多く、地域の関連会議への出席も多い訪問計画が立てられ、ケアマネジャーとの強固な連携と教育機能を併せ持つステーションを「機能強化型訪問看護ステーション」と称しています。算定要件はいずれも不可欠なものであり、そこで期待されているのは地域をケアで支える機能です。
訪問看護師への教育機能や住民への相談などを通して、地域ケアの総合力を高めていくことが求められているのです。初年度、機能強化型として届け出るところは多くはないでしょう。
しかし、これからの訪問看護ステーションは、自分のステーションだけを考えるのではなく、地域の状況をマネジメントする機能が必要と考えます。
そうした気概のあるステーションが名乗りを上げることを期待しています。という調査結果が出ています。訪問看護制度の創設以来、日本看護協会ではステーション数の増加に力を入れてきましたが、2010年以降は、今後の医療・介護政策の方向性、対象者の多様化・重度化、経営の実態に鑑み「訪問看護ステーションの在り方は大規模化と多機能化」という方針を掲げました。
その方針を実現するべく、12年度の診療報酬・介護報酬改定では、医療保険による訪問看護の対象拡大、外泊時や退院日の訪問看護、専門性の高い看護師との同行訪問、そして複合型サービス創設といった成果を上げています。
つまり、通常の訪問看護ステーションでは「地域をケアで支える」だけの規模・機能を持つことが出来る可能性が低いため、「機能強化型」という形で切り分けたというのが、機能強化型訪問看護ステーション創設に至る背景事情といえます。
※地域包括ケアシステムや在宅シフトについてはこちらの記事をご参考のこと
機能強化型訪問看護ステーションの種類
そんな機能強化型訪問看護ステーションには、2種類あります。
すなわち、「機能強化型1」と「機能強化型2」です。
これは、診療報酬改定の多寡(=機能強化型1の方が算定料が高い)、すなわち算定要件の違いによります。
その算定要件について分かり易く図示したものが、下図になります。
画像出典:medwatch.jp
さて、その違いとして最も分かり易いのが、「人員基準」です。
それについては、下記の基準が設けられています。
1.常勤看護師7人以上など、より厳しい基準を満たす「機能強化型1」
(月の初日訪問では1万2400円の療養費を算定できる)
2.常勤看護師5人以上などの基準を満たす「機能強化型2」
(同9400円)
※なお、「通常型」は7400円の療養費
つまり、人員配置を手厚くすることが機能強化型の認定の必須条件となります。(引用元)
※下記画像が、「機能強化型訪問看護ステーション」をわかりやすい形で図示したものになります
さらに、もう2つ重要な基準があります。それは、次の2つです。
- ・看取り件数を満たすこと
- ・別表7の重症利用者数の要件を満たすこと
これらの要件を満たすことに難渋している訪問看護ステーションも少なくないようです。(→詳細は後述)
参考に、算定要件に挙げられている別表第7に該当する利用者について挙げておきます。
※ 特掲診療料の施設基準等・別表第7に掲げる疾病等 |
末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る)、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷、人工呼吸器を使用している状態 |
参考:厚生労働省告示第六十三号
機能強化型訪問看護ステーションの算定要件
以下、機能強化型訪問看護ステーションの算定要件の全容を記載しておきますので、こちらもご参照ください。
※2016年度診療報酬改定については後述
【機能強化型訪問看護管理療養費1】 |
(月の初日の訪問の場合) 12,400 円(新)
〔算定要件〕 ① 常勤看護職員7 人以上(サテライトに配置している看護職員も含む) |
【機能強化型訪問看護管理療養費2】 |
(月の初日の訪問の場合) 9,400 円(新)
〔算定要件〕 ① 常勤看護職員5 人以上(サテライトに配置している看護職員も含む) |
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