「倫理」とは、人として守り行うべき道。善悪、正邪の判断において普遍的な基準となるもの。
人として生活していく中で守り行うべき道が倫理であり、私達はこの「倫理」という道徳やモラルの上に生活をしています。
看護師にとっては、人間としての「倫理」に加えて、「看護倫理」という「倫理」を理解し実践していく必要があります。
今回はこの「看護倫理」そのものについて、また「看護倫理の必要性」についてまとめてみたいと思います。
画像出典:workingnurse.com
「看護倫理」とは
「看護倫理」とは、看護師が業務を行う上で守るべき「道徳」や「規範」、質の高い看護を提供するための「考え」や「行動」の指針です。
看護倫理の始まりは1953年、「すべての患者が質の高いケアが受けられるよう、適切な看護を行う上でのガイドライン」として、国際看護師協会(ICN)が世界で初めての国際的な倫理綱領を策定したのが始まりだと言われています。
このガイドラインの制定目的は、各施設、看護師毎にケアの差が生じる事を予防し、患者さんに適切な看護、治療を受けることが出来る事を目的にしています。
日本における「看護倫理」は、1988年に日本看護協会が10の項目を看護倫理の綱領を策定しました。
その後2003年に新たな行動指針を提示し、現在では「看護者の倫理綱領」として15項目が定められています。
日本看護協会が策定した「看護者の倫理綱領」
看護者の倫理綱領の15項目とは
- 1. 看護者は、人間の生命、人間としての尊厳及び権利を尊重する
- 2. 看護者は、国籍、人種、民族、宗教、信条、年齢、性別及び性的指向、社会的地位、経済的状態、ライフスタイル、健康問題の性質に関わらず、対象となる人々に平等に看護を提供する。
- 3. 看護者は、対象となる人々との間に信頼関係を築き、その信頼関係に基づいて看護を提供する。
- 4. 看護者は、人々の知る権利及び自己決定の権利を尊重し、その権利を擁護する。
- 5. 看護者は、守秘義務を遵守し、個人情報の保護に努めるとともに、これを他者と共有する場合は適切な判断のもとに行う。
- 6. 看護者は対象となる人々への看護が阻害されている時や危険にさらされているときは、人々を保護し安全を確保する。
- 7. 看護者は、自己の責任と能力を的確に認識し、実施した看護について個人としての責任を持つ。
- 8. 看護者は、常に、個人の責任として継続学習による能力の維持、開発に努める。
- 9. 看護者はたの看護者及び保健医療福祉関係者とともに協働して看護を提供する。
- 10. 看護者は、より質の高い看護を行うために、看護実践、看護管理、看護教育、看護研の望ましい基準を設定し、実施する。
- 11. 看護者は、研究や実践を通して、専門知識・技術の想像と開発に努め、看護学の発展に 寄与する。
- 12. 看護者はより質の高い看護を行うために、看護者自身の人身の健康の保持増進に努める。
- 13.看護者は、社会の人々の信頼を得るように、個人としての品行を常に高く維持する。
- 14.看護者は、人々がよりよい健康を獲得していくために、環境の問題について社会と責任を共有する。
- 15.看護者は、専門職組織を通じて、看護の質を高めるための制度の確立に参画し、よりよい社会づくりに貢献する。
(日本看護協会から引用)
以上15項目が、日本看護協会が定める「看護倫理の綱領」です。
患者さんに対しての事だけでなく、看護者自身の事まで、看護師としてのあるべき姿、進むべき道が示してあります。
看護師はこれらの15項目を理解し、ケアを実践していかなければならないのです。
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