私は看護師として患者さんが亡くなられる瞬間に立ち会ってきましたが、身内を亡くす悲しみは計り知れないものがあり、遺族へのケアは必要不可欠だと感じています。
グリーフケアを行うには、患者さんが亡くなる前に家族がどのように受け止めているかを観察することがとても大切です。
今回はグリーフケアの注意点を3点ご紹介します!
※グリーフケアって何?と思った方はこちら!
→グリーフケアとは? ~定義、方法、資格について概説します~
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【グリーフケアの注意点その1】患者さんと家族との関係に注意する!
そっけない対応は悲しみの裏返しかも…
患者さんと家族の関係は複雑で、そっけない対応をしているからといって亡くなっていくことを受け止めているとは限りません。
最愛の人が亡くなっていくということを受け止められないからこそ、看ていて悲しくなるからこそ、冷静にそばにいられないのかも知れません。
思い出話をして患者さんに対する家族の思いを知る
最期の時を受け止めて患者さんに寄り添ってもらうことが、患者さんのためにも家族のためにも最良なのですが、なかなかうまくいかないことが多いです。
常時介護に当たっている家族とは話すことも多いかもしれませんが、昼間は就労をしている息子さんだったりするとなおさらです。
元気な時のことや思い出話をする機会があると、患者さんが家族の中でどんな存在であったかと知ることができ、患者さんの死を家族がどう思っているのか想像することができます。
【グリーフケアの注意点その2】なかなか立ち直れない男性に対して
最愛の人を亡くした悲しみから、病院の責任を訴える方も
患者さんがご主人で介護者が奥様の場合、亡くなった後も結構元気でいらっしゃる方が多いです。
しかし介護者がご主人(男性)の場合、落ち込んでしまってヘロヘロになってしまわれる方が多いのです。
そのような方は亡くなる前から病状が進行するにあたって、病状説明をしても理解されないばかりか、このような状態になったのは病院の落ち度であると逆に攻撃的になられることもあります。
そうかと思うと土下座して、助けてほしいと懇願する方もおられます。
最愛の人なのですから、当然かもしれませんが…。
※身内を亡くした方はとても傷つかれています。良かれと思って言った言葉が相手の怒りを買うこともあります。
→グリーフケアで注意すべきポイント3つ ~たとえば、「気を落とさずに」と声をかけていませんか?~
身内の死を受け止めきれない人への対処法:ただ、ただ、聞く
そうなった時、訪問看護師としてどうしたら良いのかというと、ただ傾聴するしかありません。
病院、医師への思いをぶつけてもらうのが一番だと思います。
慰めの言葉も励ましの言葉もそのような時は届かないでしょう。
かける言葉で急に激怒されることもあるので、ただただ、思いをぶつけてもらいます。
男性は無口な方も多く、家族にも弱いところを見せられないこともあるようです。
ただ、ただ、聞く。
これはとても大切なことです。
※もっと具体的なケアの仕方を知りたい方はこちらへ!
→グリーフケアの具体的方法3選 ~葬儀やお偲び会だけに頼っていませんか?~
画像出典:economia.uol.com.br
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