現在日本で行われている高齢者の施策には、残された人生をトータルでサポートする仕組みはあまりありませんでした。
- ●お金をどう管理するか
- ●病気になったらどうするか
- ●困ったらどこに相談に行けばいいのか
上記のようなものばかりでした。
『高齢者が残された時間を活用して、どういう人生を送りたいのか』、『何が人生の目標なのか』、『どのように良い死を迎えたいのか』といった人間の根源的な問いに答えるACP(アドバンス・ケア・プランニング)の重要性が高まってきています。
今回は日本でACP(アドバンス・ケア・プランニング)についてどのような取り組みが行われているかをご紹介させていただきます。
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ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)定義は以下のように言われています。
アドバンス・ケア・プランニングとは、将来の意思決定能力の低下に備えて、患者さまやそのご家族とケア全体の目標や具体的な治療・療養について話し合う課程(プロセス)
簡単に言うと、自分の身に「もしも」の時がおとずれた場合に、自分の受けたい治療や受けたくない治療、自分はどうしたいのか、何が大事なのかという自分の価値観を大切な人を前もって、話しておくということです。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)について詳しく知りたい方は〈こちら〉
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)が注目される背景とは
厚生労働省では、2007年に「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を示していますが、十分な周知が進んでいるとはいえない状況です。
特に『人生の最終段階で治療を施すか否か』については、法的な問題と切り離して考えることができない問題であり、医療者側に慎重な姿勢が見られてきました。
そこでモデル事業として、全国10カ所の医療機関で行われその成果が認められ、2016年度から患者さんの意思を尊重した医療の実現に向け、全国約200カ所の医療機関に終末期医療の相談支援チームを設置することになりました。
専門の相談支援チームには、北海道から九州まで8ブロックで計16回程度の研修が行われました。
研修内容は「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」に準拠したもので、「人生の最終段階の病態」、「対応方法に対する知識やカウンセリング」、「コミュニケーション技法」などの研修を受けた医師、看護師、医療ソーシャルワーカーなどを配置しています。
医療・ケアチームによって、可能な限り疼痛や不快な症状を緩和するケアが実施されています。
また、専門的なインフォームドコンセントをもとに患者さんが意思決定をするなど、ガイドラインに基づくチームケアが実施されています。
8割が近い人が病院で亡くなる現状からACPに力を入れる病院も増えてきています。
▶ 次ページへ:病院ごとのACP(アドバンス・ケア・プランニング)への取り組みの例とは??
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