みなさん、突然ですが、「がん対策基本法」はご存知ですか?
がん対策基本法とは、いまだ日本人の死因1位を占めるがんに対してどのように対策していくかを定めた法律です。
がん対策基本法は2006年(平成18年)に制定され、その後の課題の変化に伴って2016年(平成28年)に改訂が加えられています。
がんの対策は、この10年で目覚ましく発展しているのです。
いったいどのようなところからのスタートだったのでしょうか。
今回は、2006年の段階で取り組むべきとされてきた重点課題について取り上げていきます!
「がん対策基本法…名前だけは知っているけど…。」という方もここでバッチリ確認しましょう!
画像出典:bigbowel.org
がん対策基本法とは??
がん対策基本法は、がん対策についての目的や基本理念、基本的な施策等を記したものです。
そのため、実際に実施するためには、より具体的な計画が必要となります。
この具体的な計画が「がん対策推進基本計画」です。
この計画は、まず国が策定し、その後各都道府県が各々の実情に合わせて計画をたてて、やっと私たちの身近なところでの取り組みとなっています。
そのため、がん対策基本法で課題とされた内容は、「がん対策推進基本計画」を見ることで何に重点が置かれたのかが理解しやすくなります。
では、次にがん対策推進基本計画について見ていきましょう!
がん対策推進基本計画の目標とは??
2007年6月時点のがん対策推進基本計画を見てみます。
10年間の大きな目標としては以下のようになっています。
- ・がんによる死亡率の減少
- ・すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減、並びに療養生活の質の向上
この目標を達成するために、まず重点的に取り組むべき課題として挙げられたのは以下の3項目でした。
- ・放射線療法・化学療法の推進およびそれらを専門的に行う医師などの育成
- ・治療の初期段階からの緩和ケアの実施
- ・がん登録の推進
3つの課題についてそれぞれ見ていきましょう。
がん対策推進基本計画:重点的に取り組むべき課題
がん対策推進基本計画 重点課題その1:放射線療法・化学療法の推進およびそれらを専門的に行う医師などの育成
当時がん医療については外科的な手術が中心でした。
しかし、がん治療については、適切な放射線療法や化学療法が有効であることが明らかとなっていたにも関わらず、日本では専門的に行う機会が少なかったのです。
そのため、放射線療法や化学療法を実施できる医療機関の整備とともに、医療従事者の育成を急ぎました。
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