院内感染を一言で言えば、
病院や診療所内で主病気以外に感染症が発症すること
ですが、院内感染には実はちゃんとした定義があり、原因についてもいろいろで感染経路についてもさまざま、病院だからこそ発生してしまう細菌まであります。
病院というところは清潔感があるように見えて、一番汚染されているところなのかもしれません。
今回は院内感染について、その定義・感染経路などをわかりやすく説明していきたいと思います。
画像出典:sayidaty.net
院内感染の定義〜時間と場所に分けると理解しやすいです!〜
院内感染の定義は、医療施設(病院・診療所など)で入院後あるいは特定の病棟に転科後48時間以降に起こった感染症のことを言います。
ここで上の定義を分解すると、
- ・時間:いつ感染したのか
- ・場所:どこで感染したのか
の2つに分かれますが、「院内感染である」ことを満たすためには上記の2つの【時間と場所】の観点が両方満たされている必要があります。
これだけ聞いても…と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば代表的なものでいうと、ノロウイルスやO-157、SARSなどが挙げられるでしょう。
画像出典:quotemaster.org
院内感染の原因〜病院が病原菌のオンパレードになっている?〜
次に院内感染の原因について見ていきましょう。
原因も大きく分けると2つあります。
- ・病院は様々な病原菌を持つ人が集まるから
- ・免疫力が下がっている人が集まるから
特に前者について、病院や医療施設は様々な病原体に感染された患者さんが集まってくる場所であり、またいろんな抗生物質や抗菌剤を用いているため、薬剤に耐性を示す菌がたくさんあります。
また後者だと、健康な人であれば感染症を起こさずにすみますが、病院では入院患者さんなど免疫力が低下している場合は容易に感染し、時には重篤な状態になることもあります。
このように捉え方によっては「病院」という環境が院内感染を招いてしまっているとも言えますね。
・院内感染の原因菌
主に細菌の中でも、緑膿菌や大腸菌などに代表されるグラム陰性菌のほか、グラム陽性菌の黄色ブドウ球菌、腸球菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などが特に原因菌として重要視されています。
▶ 次ページへ:えっ、そんなところから?院内感染の感染経路とは
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