認知症の看護は薬物療法と生活支援がカギ。その具体的業務内容とは?

 

はじめに前提ですが、私が勤務する病院は精神科単科で、認知症専門の治療病棟が併設されています

院内には認知症疾患医療センターも設置してあり、認知症の鑑別診断を待つ方がたくさん。

その認知症治療病棟はいつも満床。ベッド待ちの方も絶えません。

 

そのような中、認知症ケアの質の向上に向けて、さまざまな取り組みがなされています。

特に、認知症治療病棟で看護師が行う業務内容は大きく分けて「薬物療法」と「生活支援」。

本記事では、この2つの業務についてご説明したいと思います。

 

認知症看護の業務内容

画像出典:queencityreading.com

 

そもそも認知症治療病棟ってどんなところ?

 

認知症治療病棟では、いつどこで何が起こるか分かりません。

その「何か」が普通では考えられないような逸脱した行動であることが多く、常時目を離すことができないのです。

たとえば、、、

 

  • ・トイレではないところで排泄をしてしまい、弄便行為をしてしまう人
  • ・視界に入る物すべてが食べ物と認識してしまい、あらゆる物を異食してしまう人
  • ・全裸のまま病棟中を走り回ってしまう人
  • ・性的逸脱行為をしてしまう人

 

逸脱行為、上げたら本当にキリがありません。

だからこそ、認知症治療病棟で看護師が行う業務内容における「肝」を認識することは非常に重要です。

少し話が逸れますが、少なくとも私は、それは「見守り」ではないかと考えています。

また、「見守り」こそが認知症治療病棟で働く看護師の使命ではないかと考えています。

 

私が「見守りが重要である」と思っていることはさておき。

認知症ケアにおいて、看護師の具体的業務内容はどのようなものかという本題に移っていきましょう。

 

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画像出典:nursegrid.com

 

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認知症病棟の看護師の業務内容 ~薬物療法の管理~

 

現在のところ、認知症に対する特効薬はなく、根本的治療はないといわれています。

認知症の方に処方されている薬剤は病気を治すものではなく、単に症状の進行を食い留めるだけのものに過ぎません。

だからといって、薬物療法を軽視してしまうと、症状が悪化して取り返しのつかないことにもなってしまうのです。

では、薬物療法の管理の内容や注意点はどのようなものでしょうか。

 

薬物療法にかかる看護師の労力は多大なもの。

 

認知症治療病棟で行う薬物療法は、一般科に比べてかなりの時間を費します。

というのも、1日4回(毎食前後と就寝時)、患者様全員に服薬を行っていく必要があるためです。

 

また、注意すべき事項としては、たとえばうっかり飲み忘れの薬剤がたまたま床に落ちている場合。

認知症病棟では、それを他患者様が口にしてしまう「異食行為」が発生してしまうことに気をつけなければなりません

これらは、看護師にとって非常に多大な労力を必要とします。

 

薬剤の自己管理者は0。看護師が薬剤を管理する。

 

(少なくとも私が勤務している)認知症治療病棟では、薬剤を自己管理できる人は残念ながら一人もおりません

入院患者様の薬剤すべてを看護師が管理しなければならないのです。

つまり、服薬する際には薬だけを見るのではなく、日々の行動から異変がないかどうかの危険を察知するための「観察ケア」も必要になってきます

例えば服薬時、必ず名前を確認します。

なぜなら、認知症の患者様はそのときの症状によって自分の名前以外でも「ハイ!」と元気に返答してしまう場合もあるためです。

 

認知症の行動・心理症状に対する「薬物療法」は大切

 

認知症にはBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)と呼ばれている厄介な「周辺症状」が出現してきます。

看護師はこれらの周辺症状にもきちんと目を向け、BPSDの評価を定期的に行い、薬物療法が慢性化しないように対応していく必要があります。

認知症治療病棟で行う薬物療法では、BPSDの評価が重要な役目になってくるのです

 

なお、かつてBPSDは、中核症状に対して「周辺症状」と言われてきましたが、近年は「BPSD(行動・心理症状)」という名称が一般的になりつつあるようです。

※参考記事:認知症フォーラム.com「中核症状とBPSD(行動・心理症状)はどう違う?」

 

▶ 次ページへ:認知症看護における「生活支援」のポイントって??

 

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