本記事の目次
嚥下障害の予防・抑制 ~食事介助における6つのポイント~
それでは、具体的に食事介助にて嚥下障害を予防・抑制するためのポイントをご紹介します。
皆さまの介助のスキルアップ、そして何より被介助者の満足度向上にとって、下記6つは非常に重要になります。
※下記、Fujimoto Medical SystemのHPを多分に参考しています
食事介助のPoint1:食事環境による精神的なリラックス
嚥下障害には、精神的な側面も密接にかかわっています。
そのため、「リラックスできる環境づくり」は非常に重要です。
当然のことながら、後にも述べる「食事の姿勢」という意味もさることながら、静かな音楽(BGM)を流すなどの「精神的なリラックス」も考慮することが重要です。
食事介助のPoint2:食事前後の口腔ケア
口の中が唾液で常に潤っているのは健康だからです。
口から食べていないと唾液のでる量も少なくなり、口の中は乾燥していき、菌が繁殖しやすい状態になっていきます。
そんな状態でもし食べ物を食べて誤嚥したとしたら、肺の中で菌が繁殖しすぐに肺炎を引き起こしかねません。
「口の中をきれいすること」は、誤嚥した時肺炎にならない為の予防になります。
食後も必ず口腔ケアを行い、口の中に残った食べ物を取り除くことが大切です。
食事介助のPoint3:「頭が後ろに下がらない」食事の姿勢
食事の姿勢は、嚥下障害の予防・抑制において非常に重要です。
食事シーンには、
- ・ベッド上でとる食事
- ・車いすに座ってとる食事
- ・椅子に腰掛けてとる食事
などがあげられます。
高齢者は姿勢の傾きによっても誤嚥する可能性があり、場所が違っても食べやすい姿勢が確保されなければなりません。
では、正しい食事の姿勢はどのようなものでしょうか。
まず、
ポイントは、ずばり「頭が後ろに下がらないようにすること」です。
特に、車いすやベッドでの場合には頭がさがりやすいため、クッションを使って首を後ろにもたげさせないことが重要です。
食事介助のPoint4:食具(自助具)の充実
自助具とは、「体に障害をもった方の失われた機能を補い、いろいろな動作を簡単に可能とするように助ける道具」のことです。
下図にてその具体例を挙げますので、介助者は、こちらを参考にしながら「自助具に不備がないかどうか」しっかり確認しましょう!
画像出典:fujimoto.or.jp
食事介助のPoint5:一回に口に含む量と食べる速さを適切にする
口に入れる食べ物の量は、少なすぎても多すぎてもよくありません。
少ない場合は口の中の刺激が少なく、飲み込みの運動が起こりにくくなります。
多すぎる場合は、喉をとおりにくく、また、喉に溜まりやすいため誤嚥しやすくなります。
また、食べる速度が速い人も上手く飲み込めていないにも関わらず、次々に口の中へ食べ物を含ませるので、誤嚥の危険性が増すことになります。
食事をとる際には、小さく・薄く・平たいスプーンを使用し、摂食・嚥下障害の改善にあわせて徐々にスプーンを大きくしていくようにして下さい。
また、十分に噛んで、一口ごとに飲み込んでから次の一口を口へ運ぶようにして下さい。
画像出典:fujimoto.or.jp
食事介助のPoint6:誤嚥をしにくい食事内容
固形物で危険なものとしては、
- ・硬いもの
- ・パサパサしているもの
- ・咀嚼しにくいもの
- ・口の中や喉にくっつきやすいもの
が挙げられます。
たとえば、豆類、揚げ物、とうもろこし、生野菜、こんにゃく、のり,わかめなどを指します。
逆に、流動物(つまり水分)も、口から喉に落ちるまでの速度が速く、一番誤嚥しやすいといわれています。
しかし、トロミをつけることで誤嚥をしにくくなります。
食べやすい食事の条件は、噛んでいてバラバラになりにくく、口の中や喉をスムーズ通るもの、また、口の中でべたつかない食べ物といわれています。
例えば、ゼリーやヨーグルトがこれに当たります。
摂食・嚥下障害の方は一人一人食べやすいもの、食べにくいものが異なります。
担当の医師やリハビリスタッフの指示のもと、その方に適した食事を取るようにしましょう。
☆その他、より具体的に食事介助の方法について述べた記事はこちらです!
→「正しい食事の介護はできている?食事介助はQOLの向上につながります!」
嚥下障害を抑えるための食事介助の方法 まとめ
以上、嚥下障害を抑える(予防する)ための食事介助の方法を5つご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
最後に、ざっと復習しておきましょう。
- ・嚥下障害とは「正常にモノを飲み込めない状況」のことである
- ・嚥下には多くの器官が関係し、嚥下障害が起きうる理由も多々存在する
- ・嚥下障害は、「死」に繋がりうる疾病である
- ・嚥下障害を防ぐポイントは6つ(本記事で紹介したもの)
→食事環境/口腔ケア/姿勢/食具/食事の速さと量/食事内容
以上、皆さまのより良いケアの一助となれば幸いです。
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