看取り実施における具体的な流れとは? ~大別すると4つに分けられる~
① 看取りの開始時期
- ・医師により一般的に認められている医学的知見から心身機能の障害や衰弱が著明で、明らかに回復不能な状態であること。
- ・近い将来確実に死に至ることが差し迫っている状態と判断し、かつ、在宅での生活を強く望んでいる本人につき、医師あるいは状況に応じて訪問看護師により、患者さん本人とご家族にその判断内容を懇切丁寧に説明し、その人らしい看取りができるように計画を作成すること。
- ・終末期を在宅で過ごすことに同意を得ること。
以上の3点が確認されれば、開始されます。
その際の大前提になるのは、在宅での看取りを行う場合、一連の、あるいは突発的な病状の変化について延命治療を行っても、患者さんの苦痛を増長させるだけで死は間近に迫っていることをご家族によく理解してもらうことです。
そのため、医師から在宅で可能または困難な処置、対応時間について十分な説明を行います。
この説明を受けた上で、本人やご家族は、在宅で看取りを受けるのか、医療機関に入院するのか、または介護保険対象者であれば、介護関連施設等への入所を選択するかを決定します。
また、一旦在宅での看取りを受けると決めても、療養場所や治療方針の変更は可能であることも説明しておきます。
②環境の整備
在宅での看取りを希望された場合で、かつ、人的・物的な支援が必要である場合は、
介護保険対象であれば、介護保険の申請を行いケアマネジャーを決め、療養に必要な在宅環境を整えます。
具体的には、ベッドの導入、生活動線の確保、介護力のサポートがあげられます。
③看取りの実施
患者さん本人、ご家族が在宅での看取りを希望された場合、訪問看護師は医師による訪問看護指示書に基づき看護計画を作成します。
介護保険サービスの利用者には、ケアマネジャーが医師、訪問看護師、その他サービス提供事業者と共に居宅サービス等の計画を作成し、ご本人、ご家族に説明して同意を得ます。
これはサービス計画に基づき支援されますが、ご本人の状況は日々変化することもあり、その都度サービス提供事業者との連絡を密に行い、状況に応じて対応ができるように努めます。
また、その状態をご家族がどのように感じておられるのか等のご家族の身体面、精神面でのサポートが必要となります。
場合によっては、医師から病状の説明を受けてしっかり理解されているように見えても、テレビドラマにある臨終のイメージを持たれているご家族も多いのです。
その結果、患者さんの病状によっては、壮絶な最期を受け止められないご家族もおられ、救急車を呼んでしまうなどパニックになられることもあります。
毎回の訪問時に時間を十分に取り、ご本人、ご家族の話を傾聴する姿勢が大切です。
いつでも遠慮なく、ご家族が相談できる関係を構築することが大前提だと言えるでしょう。
④お看取り後
在宅での看取りの場合、臨終の際に医師が立ち会えることはほとんどなく、呼吸が止まったことで連絡を受けることが多くあります。
時間的な問題からすぐに医師が死亡確認できない場合などもあります。その際の対応についての説明も必要となります。
在宅では病院のようにエンゼルケアは行わないことがほとんどです。
そのため、亡くなった後のことについても、きちんと理解されているかどうか確認しておかれると良いでしょう。
※エンゼルケアについては、こちらの記事を参照してください:「エンゼルケアとは?〜看護師が患者さんに関わる最期のケアです」
画像出典:perfecto.guru
在宅の看取りにおける看護師の具体的な業務内容と流れ まとめ
在宅の看取りにおいて重要な点は、「患者さん本人の苦痛をできるだけなくすこと」につきると思います。
患者さんが苦しむ姿を見ることはご家族にとって、患者さんを亡くすことよりつらいこと。
患者さんが在宅で看取りを行うという選択をしたことを後悔することなく、良かったと思えるような最期を演出できるのは、訪問看護師の力量にかかっていると言っても過言ではありません。
それ故、素敵な最期を演出でき、かつ、患者さんにもご家族の方にも感謝されることがあればとてもやりがいを感じる職業。それが訪問看護師だと思います。
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