わたしの留学体験
大学時代の第一関門:大学院へのハードル
私が留学したのは、フィラデルフィア郊外にある小さなカトリック系の大学でした。
小さい大学ながらも看護教育の質の高さで知られていました。
大学生活はというと、、、思い出すのも辛い、厳しい日々もありました。
とにかく一年目は英語との闘い。
授業はウォークマンで録音し、図書館でそれを聞きながらノートの穴を埋めていく。
最初の頃は45分の授業を2時間以上かけて聞き直すという、それだけで一日が終わっていくような日々でした。
そして、2年目のクラスを決める時期に、ガイダンスカウンセラーから、次のように言われました。
「あなたの持っている単位なら看護修士課程(大学院)にいけるはずよ。ただ、その為にはRNの免許が必要になるわ。」
なるほど、それならば!
わたしは大学院を目指す事にし、その為にRN(Registered Nurse)の免許を取る準備を始めたのでした。
大学時代の第二関門:試験が受けられない
しかし、「外国人」がRNの免許を取る為には、CGFNSという試験を先にパスしておく必要がありました。
CGFNSは海外の看護師免許を持つナースを対象にした、看護知識と英語力を判定するテストのことです。
それにパスすると、各州のRN免許の州試験を受ける事ができるのですが、私はそのCGFNSのテストを事務局の手違いで、2度も受けることができませんでした・・・!
「こんなことで1年を棒に振ることはできない!!」
藁にもすがる思いで、その頃RNのテスト勉強を週に1度みてもらっていた元ナースに相談しました。
すると彼女は、こう言ったのです。
「ニューヨーク州はCGFNS無しで州試験を受けられるはずよ。だから、ニューヨークで免許を取って、後でペンシルベニアに移せばいいのよ」
いとも簡単に問題解決してくれたのでした。
知らないって、ホントに怖いことですね・・・。
というわけで、2月の寒い最中、凍り付くハドソン川の桟橋で2日間にわたるテストを受け、無事ニューヨーク州のRN免許を取る事ができたのです。
※ちなみに、このテストを最後に全てコンピューター化されました。
大学院へ進んで
大学院では、がん専門看護のクリニカルナーススペシャリストのコースで、看護修士課程を取りました。
がん患者は増える一方で、在宅ケアでも癌の患者さんは多いだろうと思ったのです。
クラスメイトは30-50代の現役のナースで、それぞれが明確に目的を持っていました。
一方わたしはというと、1年目は授業がメインだったため、CPTを利用し、近所のナーシングホームで週に2-3日、看護助手のバイトをしました。
※「CPT」とはCarrier Practical Trainingの略で、留学生が大学在籍中にキャンパス外で、週に20時間まで自分の専攻する分野で就労できるプログラムのことです。
このナーシングホームでの経験は、わたしにとって非常に貴重なものとなりました。
看護の実際を知る事ができただけでなく、退屈している老人の話し相手になることで英語が上達し、大学院では学ぶ事のできない「アメリカの高齢者の生(なま)の生活」を感じることができたのです。
さて、2年目に入ると実習が増え、修士論文のための研究で忙しくなりました。
また、CPTの規定時間を使ってしまった為、ナーシングホームのバイトは辞めねばならず、代わりにクラスメイトのお母さん(80代)のプライベートナースとして週4-5日、夜10時から翌朝8時まで泊まりながら勉強していました。
こうして無我夢中の間に大学院を卒業し、無事に看護修士を取得することができました。
しかし、、、今度は「就職」という新たな壁が目の前に立ちはだかっていたのです。
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