アメリカでのホスピスナース経験 (駆け出し編) ~わたしの仕事に対する姿勢が変わった理由~


 

≪著者プロフィール≫ ラプレツィオーサ伸子

日本の大学病院で看護師として勤務後渡米、現在アメリカ人の夫、3人の子供と犬の世話に奮闘しながら、在宅ホスピスナースをしています。

少しでも日本のホームケアの発展に貢献したく、ここアメリカ東海岸から、在宅ホスピスの生の情報をお届けしたいと思います。

 

ホスピスナース体験記、ラプレツィオーサ伸子

 

はじめの一歩

 

私がアメリカではじめに就職したホスピスは、総合病院の訪問看護部の中のホスピスチームで、一般のホームケアとホスピスの両方の患者さんを看ていました。

それは1998年の事で、その頃少しずつメインストリームに浸透してきた「パリアティブケア(緩和ケア)」というコンセプトを取り入れ、ホームケアの患者さんでも特に痛みのコントロールが難しい人や、近い将来ホスピスに移行する可能性の高い人が依頼されてきました。

要するに、積極的な治療方針から一転して「もう出来ることはないからホスピスに行きなさい」という、それまでの最後通告的なアプローチではなく、パリアティブケアという「通り道」を作る事でよりスムーズでタイムリーなホスピスの利用を図ろうという流れができてきた頃だったのです。

※日本のホスピスについてくわしく知りたい方はこちらの記事もどうぞ!
 →看護師がホスピスで働くということ〜最期まで自分らしく生きる為のサポートとは〜

 

その頃のアメリカでホスピスケアを受ける平均日数は、約6週間

ホスピスに依頼する診断基準が余命6ヶ月以内である事を考えると、明らかに依頼のタイミングが遅く、せっかくのプログラムが充分に生かされていませんでした

私が新人ホスピスナースとして足を踏み入れたのは、そんな、アメリカの「ホスピス過渡期」だったのです。

と言っても、ホスピス初心者の私は、とにかく症状緩和のノウハウ、死への過程の実際、患者さんや家族へのアプローチといったものを学び、身につけることに必死で、そんな過渡期にいた事さえもよくわかっていませんでした。

 

失敗は成功の元、後悔は前進の元

 

今思うと、あの頃の私の受け持ちになった患者さんや家族は本当に寛大で、あんな未熟者の私をよく受け入れてくれたと、恥ずかしくなります。

英語も下手で、おそらくアメリカ人の中学生程度(もしくは、以下)のボキャブラリー。

それに、スペルを言わなければわかってもらえない発音は、自ら笑い飛ばすしかありませんでした。。。

 

しかし、あえて“英語の下手な日本人ナース”でいた事が意外にも功を奏し、ある意味、私の訪問を楽しみにしてくれる人達もいたのです

もちろん、「あの中国人のナースは替えてくれ」「あなたの発音は私はわかるけれど耳の遠い夫には無理だから、悪いけど別のナースにして」等と言われた事もあります。

そんな時、同僚達は憤り、上司は「それは差別であって、そうした理由で受け持ちを変えることは不当であり、不本意ではあるけれど、あなたもやりにくいだろうから」と気を遣ってくれましたが、私は全く気になりませんでした。

それよりも、「Nobukoは押しが弱すぎる。もっと先手を打って積極的に引っ張ってくれる人にして欲しい」と言われた時や、訪問していた間はてっきり満足してもらえていたと思った家族から、患者さんが亡くなった後に思いがけない不満の声を聞いた時の方が、自分の力不足を突きつけられたようでショックでした

 

しかし、そんな時でも挫けずにすんだのは、「誰だって患者さんにクビにされたことはあるわよ」「ナースと患者さんだって、相性はあるもの」「みんなを満足させるなんて、無理無理」と励ましてくれる同僚達、それから、患者さんや家族からのあなたが来てくれて助かった」「あなたの訪問が楽しみだった」「ありがとう」という言葉があったからでした。

 

だからこそ同じ失敗は繰り返したくないし、同じ後悔はしたくない

今は初心者でも、いつかエキスパートになれるよう、一つ一つの経験を大切に積み上げていこうと思ったのです

 

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