平成28年度(2016年)の診療報酬改定では、
在宅領域(在宅医療・訪問看護・(ホスピス)緩和ケア・看取り)に関わる制度改定が多数行われました。
これは、在宅領域が医療・看護・介護業界に関わる”すべて”の方々に大きな影響があることを意味します。
しかし、webサイトでは、政府資料のペーストがされているのみで、情報が整理されているとは言い難いのが実情。
そこで、ビーナースが他サイトに先駆け、「在宅」にかかわる診療報酬改定項目を順次見やすい形に整理していきます。
今回は、中でも「地域包括ケアシステム」に関わる改定項目(「療養病棟の在宅復帰機能強化加算の見直し」)を、用語解説を含めてご説明します!
※公式資料はこちら(本記事に関連するのはp35)
以下多分に公式資料より引用部分が含まれています。
※下記画像はイメージです
画像出典:fraunhofer.de
本記事の目次
「療養病棟」について
まずは、「療養病棟」の基本事項についてご説明します。
「療養病棟」とは
まず、療養病棟という言葉のご説明からです。
医療法第7条によると 病床の分類は次の5分類に分かれます。
①精神病床、②感染症病床、③結核病床、④療養病床、⑤一般病床
療養病棟とは医療法第7条と厚生労働省の資料によれば、次のように定義されます。
病院又は診療所のうち
主として 長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病棟。
では、「療養病棟」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
「療養病棟」の構成
療養病棟の定義は上記の通りですが、その構成は下記の2つの病床から成ります。
①医療療養型病床:慢性期の状態にあって入院医療を必要とする患者に対するサービスを医療保険で提供する病床
②介護療養型病床:要介護認定された患者に対するサービスを介護保険で提供する病床
療養病床に対して、主として急性期の入院治療を必要とする患者のための病床が「一般病床」です。
「療養病棟」を巡る動き
療養病棟は、上記記載の通り構成する病床によって給付の財源が異なります。
そこで近年、療養病棟を構成する療養病床をその機能に従って明確に区分しようという動きがあります。
下記図は、平成18年度に医療療養病床と介護療養病床を区分する厚生労働省の構成を表しています。
なお、この動き−介護療養病床の廃止・転換−は平成29年度末まで期限が延長されています。
画像出典:mhlw.go.jp
「療養病棟の在宅復帰機能強化加算の見直し 」の概要
それでは、「療養病棟入院基本料−在宅復帰機能強化加算−」の改定項目の内容に触れていきましょう。
本改定の趣旨
地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携
本改定の基本的な考え方
療養病棟入院基本料の在宅復帰機能強化加算について、在宅復帰率の算出から入院期間が1か月未満の患者が除外される計算式を見直すとともに、急性期等から受け入れた患者の在宅復帰がより適切に評価されるよう指標の見直しを行う。
改定項目概要
療養病棟入院基本料の在宅復帰機能強化加算に関する要件を次のように変更する。
現行 | 改定案 |
[施設基準]
① 療養病棟入院基本料1を届け出 ていること。 ② 当該病棟から退院した患者(当該 病棟に入院した期間が1月以上の ものに限る。)に占める在宅に退院 した患者の割合が5割以上である こと。 ③ 退院患者の在宅生活が1月以上 (医療区分3の患者については 14 日以上)継続することを確認してい ること。 ④ 30.4 を当該病棟の入院患者の平 均在院日数で除して得た数が、100分の 10 以上であること。 |
[施設基準]
① 療養病棟入院基本料1を届け出 ていること。 ② 当該病棟から退院した患者(自院 の他病棟から当該病棟に転棟した 患者については、当該病棟に入院し た期間が1月以上のものに限る。) に占める在宅に退院した患者の割 合が5割以上であること。 ③ 退院患者の在宅生活が1月以上 (医療区分3の患者については 14 日以上)継続することを確認してい ること。 ④ 自院又は他院の一般病棟・地域包 括ケア病棟(病室)から当該病棟に入院し自宅・居住系介護施設等に退 院した年間の患者(自院の他病棟か ら当該病棟に転棟して1か月以内 に退院した患者は除く。)の数を当 該病棟の年間平均入院患者数で除 した数が 100 分の 10 以上であるこ と。 |
要約すると、変更点は2点になります。
分かりやすくまとめたものが下の図になります。
画像出典:www.mhlw.go.jp
「療養病棟の在宅復帰機能強化加算の見直し」 まとめ
以上が、「地域包括ケアシステム」に関わる診療報酬改定項目(「療養病棟の在宅復帰機能強化加算の見直し 」)の整理になります。
まだまだ改定から間もないため、独自の解釈は控えております。
今後、業務等で改定にかかわる疑問が出てきたときには、ビーナースでざっと把握していただければ幸いです。
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