【地域包括ケアシステムに係る診療報酬改定2016】医療機関間の連携と退院支援に向けた評価の充実(用語説明付)


 

平成28年度(2016年)の診療報酬改定では、
在宅領域(在宅医療・訪問看護・(ホスピス)緩和ケア・看取り)に関わる制度改定が多数行われました。

これは、在宅領域が医療・看護・介護業界に関わる”すべて”の方々に大きな影響があることを意味します。

しかし、webサイトでは、政府資料のペーストがされているのみで、情報が整理されているとは言い難いのが実情。
そこで、ビーナースが他サイトに先駆け、「在宅」にかかわる診療報酬改定項目を順次見やすい形に整理していきます。

今回は、中でも「地域包括ケアシステム」に関わる改定項目(「医療機関間の連携と退院支援に向けた評価の充実」)を、用語解説を含めてご説明します!

 ※公式資料はこちら(本記事に関連するのはp109)/ 以下多分に公式資料より引用部分が含まれています

 

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※下記画像はイメージです

医療機関間の連携と退院支援

画像出典:static1.squarespace.com

 

「退院支援」の意義について

 

今回扱う診療報酬改定項目は、前回取り上げた「退院支援に関する評価の充実」に引き続き、「退院支援」について扱います。

前回は、退院支援の意味、3つのプロセス、そして退院支援におけるキーパーソンについてご説明しました。

そこで今回は、退院支援についてより深く考察し、本改定に関わる診療報酬のご説明をした後、改定内容をご紹介していきます。

 

「退院支援」とは

 

まず、改めて「退院支援」という言葉のご説明です。

京大病院地域ネットワーク医療部によれば、下記のように定義されています。

 

入院患者が、適切な期間に適切な医療を受け、退院後も安全な療養が継続できるよう入院時から取り組む患者・家族へ提供されるケア

 

また、退院支援のフローは一般的に下記の3つに分けられています。

 

第1段階:スクリーニング(入院時に退院支援の必要になる患者であるか、特定を行います)

第2段階:退院支援の方向性を決定(患者に提供される検査・治療・リハビリ等の状況から、『退院後も継続する医療管理・医療処置は何か』『ADL・リハビリ進行状況から必要な介護は何か』を主治医・リハビリ担当者と検討し、患者・家族との共有・退院後提供できる方法を検討。受け持ち看護師が中心になり、チーム内でサポート)

第3段階:退院調整(チーム内で退院支援の方向性が固まったら、介護保険などの制度を申請して訪問看護などの地域サービスの調整を行います。また同時に患者さんと家族に退院指導も行っていきます)

 

退院支援の意義 ~病棟に退院支援専任配置が求められる理由~

 

在宅ケア移行支援研究所の宇都宮宏子氏は、『aging in place(地域で暮らし続ける)を実現するために』という論考で、退院支援の意義として次のようなことを挙げています。

 

  • ・入院医療を提供したけれども,入院前と何かが変わった,もしくは入院前から何がしかの理由で「暮らしづらさ」の問題が起きていた患者や家族に対して,「暮らしの場への移行支援」を提供する必要がある
  • ・退院支援が必要になる理由は,病気や病気による暮らしづらさだけではなく、貧困や孤立といった社会的背景を抱えていた人が「入院」をきっかけに暮らしづらさが明らかになることも多いためである
  • ・退院支援の2つのポイント「受容支援」「自立(自律)支援」は,看護そのものではないか
  • ・福祉の専門家であるMSWや在宅医療への調整能力のある退院調整看護師の適時・適切なサポートを受け,病棟看護師が主体的に退院支援を進める仕組み・教育体制が必要

 

退院支援で有効なアプロ―チとは?

 

2008年に退院調整部門の設置が求められ、診療報酬上「退院支援部門があること」が評価されるようになって以降、退院支援部門への看護師の配置が進められるようになっていきました。

そこでは、どのような取り組みが有効なのでしょうか。

宇都宮氏の論考(同上)では、次のようなことが述べられています。

 

  • ・退院支援を専従・専任として配置された看護師が、退院支援の一連の流れの中で外来・病棟看護師が「看護」として実践できること
  • 退院調整部門で実践することを見える化すること
  • ・看護部と課題の共有を行い、看護業務の中に退院支援のための実践を組み込むこと
  • ・看護部研修において「退院支援の位置づけ」に関する講義を行うこと
  • ・「訪問看護への同行研修」を実施したりして、「暮らしの場への移行を支援するために看護師として必要な知識や技術」を習得させること

 

特に、2つ目の「見える化」に際しては、下図のように「入院から退院までのプロセスを3段階で可視化」した資料が有効となるでしょう。

また、5つ目に関しては、退院時に関わらず、訪問看護分野の知識を習得しておくことは非常に重要なことです。

* 参考記事:在宅シフトの流れの中で看護師がどのような知識を獲得すべきか

 

退院支援計画書モデル

画像出典:nissoken.com

 

※退院支援に関する参考文献

・東京都福祉保健局『東京都退院支援マニュアル~病院から住み慣れた地域へ、安心して生活が送れるために~』(平成28年3月改訂版)

本マニュアルは、病気や障害のある方々が自らの人生をどのように歩むかを選択し、最期ま で適切な医療やケアを受けながら住み慣れた地域で生活を送ることができるようになるために、 患者・家族にどのように支援したらよいかについて、医療・ケアを提供する専門職すべてが考 え、実行に移せるようになることを目的としている。

 

 

本改定に関わる診療報酬の用語解説

 

介護支援連携指導料

 

介護支援連携指導料は、平成22年度診療報酬改定時に新設された診療報酬です。

具体的には、「入院中の患者について退院の見込みがついた段階で、入院中の医療機関の医師または医師の指示を受けた看護師等がケアマネジャーと共同で、患者に対し、介護サービスの必要性等について指導を行うとともに、退院後の介護サービスに係る必要な情報共有を行った場合に点数がつくもの」*です。

* 引用元:ケアマネタイムス

 

退院時共同指導料

 

具体的には、「退院時共同指導料1又は退院時共同指導料2は、保険医療機関に入院中の患者について、 地域において当該患者の退院後の在宅療養を担う保険医療機関の保険医又は当該保険医の 指示を受けた当該保険医療機関の看護師若しくは准看護師が、当該患者が入院している保険医療機関に赴いて、患者の同意を得て、退院後の在宅での療養上必要な説明及び指導を、 入院中の保険医療機関の保険医、看護師又は准看護師と共同して行った上で、文書により 情報提供した場合に、当該入院中1回(別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者について は2回)に限り、それぞれの保険医療機関において算定するもの」*です。

* 引用元:今日の臨床サポート

 

※退院時共同指導に関する参考文献

・日本病院薬剤師会、療養病床委員会『退院時共同指導取り組み事例集 』(平成23年度版)

 

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