本記事の目次
超重症児と似ているようで異なる重症心身障碍児とは何か
重症心身障碍児とは
厚生労働省の文献によれば、次のように定義されています。(一部改訂)
「重度の知的障碍と重度の肢体不自由が重複」(児童福祉法第7条第2項)し、発達期に発症し、医療的ケアの必要な児者。
また、日本重症児福祉協会によれば、次のように定義されています。(一部改訂)
重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態を重症心身障碍といい、その状態にある子どもを重症心身障碍児。
さらに成人した人を含めて「重症心身障碍児(者)」と呼びます。
これは、医学的診断名でなく、児童福祉法上の定義です。
その細かい判断基準を、国は明示していません。
しかし、現在では、「大島の分類」 で判定するのが一般的です。
重症心身障碍児(者)の数は、日本ではおよそ 3 万 8,000 人いると推定され ています。
画像出典:geocities.jp
まだ、イマイチ、超重症児と重症心身障碍児はいったい何が違うのかピンと来ないかもしれません。
ここでは次に、超重症児が登場した背景から見ていくことでその違いをさらに明らかにしていきたいと思います。
ここでは一旦、対象を分かりやすくとらえる点から関心を超重症児から一歩引いて小児在宅医療が登場した背景から見ていきましょう。
それでは、詳しく見ていきましょう。
(尚、以下一部「小児在宅医療の現状と課題、そして気になる今後の展望とは??」の記事と重なりますがご了承ください。)
小児在宅医療が登場した背景
ここでは、小児在宅医療という言葉が登場した背景について説明します。
小児在宅医療が登場した背景その1:医療技術の進歩
日本は、この数十年で小児医療を着実に進歩させてきました。
その結果、救命できる子どもが増え、子どもの死亡者は急速に減少し、この30年で約1/4になりました。
死亡率の減少は、特に新生児医療が顕著で、医療技術の進歩により、新生児の死亡率は急速に減少しました。
しかし、世界に誇れる我が国の恐らく誰も予想だにしなかった事態が発生しました。
画像出典:mhlw.go.jp
小児在宅医療が登場した背景その2:重症心身障碍児の増加
それは、多くの子どもを救命したがゆえ、救命できたもののさまざまな障碍が残った子どもたちの増加です。
その中でも最も障碍が重かったのが、自力で歩けない、話せない重症心身障碍児でした。
このような子どもたちは、少数存在していたが、その数が増えることになりました。
当時、社会から存在を認知されておらず、生きていくためのさまざまな法制度や社会資源も整備されていなかった重症心身障碍児を守るために結成されたのが、「重症心身障害児者を守る会」でした。
その活動は、そのような子どもたちが入所できる重症心身障碍児施設を建設することが、大きな目標の一つでした。
画像出典:mhlw.go.jp
小児在宅医療が登場した背景その3:施設の不足
実際、全国に施設は多数できました。
しかし、そこに入所できたのは重症心身障碍児の3割といわれています。
ちなみに、重症心身障碍児とは、重度の肢体不自由と重度の知的障碍とが重複した状態の子どもです。
これは、医学的診断名ではなく、行政上の措置を行うための定義です。
現在は、元東京都立府中療育センター院長の大島一良氏が、 1971年に発表した「大島の分類」という方法により判定するのが一般的です。
「大島の分類」について詳しく知りたい方は【重症心身障がい児とは?~「大島の分類」による定義および今後の課題等~】をチェックしてみてください。
画像出典:mhlw.go.jp
小児在宅医療が登場した背景その4:さらなる医療技術の進歩による「超重症児」の登場
医療技術はさらに進歩し、最も重い障碍と思われた重症心身障碍児よりさらに別の障碍を持つ子どもを産みました。
それが、 医療機器と医療ケアに依存して生活する子どもたちです。
そのような子どもたちは、先述の重症心身障碍児にさらに医療 ケアが加わったということで、「超重症心身障碍児」略して「超重症児」と呼ばれます。
これらの「超重症児」は、重症心身障碍児の中でも、医学的管理下に置かなければ、呼吸をすることも栄養を摂ることも困難な障碍状態にある障碍児でした。
画像出典:mhlw.go.jp
以上、超重症児と重症心身障碍児の違いを明らかにするために小児在宅医療が登場した背景から見ていきました。
ここから分かることは超重症児とは、重症心身障碍児よりさらなる医療的ケアを必要とする子供であることがわかりましたね。
では、次に超重症児の現状と課題、そして今後求められるものとは何かを見ていきましょう。
▶ 次ページへ:超重症児の現状と課題、そして今後求められるものとは??
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