平成28年度(2016年)の診療報酬改定では、
在宅領域(在宅医療・訪問看護・(ホスピス)緩和ケア・看取り)に関わる制度改定が多数行われました。
これは、在宅領域が医療・看護・介護業界に関わる”すべて”の方々に大きな影響があることを意味します。
しかし、webサイトでは、政府資料のペーストがされているのみで、情報が整理されているとは言い難いのが実情。
そこで、ビーナースが他サイトに先駆け、「在宅」にかかわる診療報酬改定項目を順次見やすい形に整理していきます。
今回は、中でも「訪問看護」に関わる改定項目(「複数の実施主体による訪問看護の組合せの整理」)を、用語解説を含めてご説明します!
※公式資料はこちら(本記事に関連するのはp143-144)
画像出典:moorestownvna.org
本記事の目次
「訪問看護の組合せ」とは?
本改定における、「訪問看護の組合せ」とは、
- 1.ある訪問看護ステーションと別の訪問看護ステーション
- 2.病院・診療所と訪問看護ステーション
- 3.ある病院・診療所と別の病院・診療所
上記のように、別々の主体による訪問看護を併用することを言います。
この場合、診療報酬をどのように算定するのかが問題になりますが、
「原則は算定しないが、どのような例外を設けるのか」
という点が論点となります。
「複数の実施主体による訪問看護の組合せの整理」の概要
では、「複数の実施主体による訪問看護の組合せ」の意味について確認したところで、改定項目の内容に触れていきましょう。
・本改定の趣旨
「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」
・本改定の基本的な考え方
「病院・診療所と訪問看護ステーションの、2か所又は3か所からの訪問看護を組み合わせた利用に関して、複数の訪問看護ステーションの組合せと同様に末期の悪性腫瘍や神経難病等の利用者に限る。 」
・改定項目概要
保険医療機関と特別の関係にある訪問看護ステーション又は訪問看護指示書の交付関係にある訪問看護ステーション以外であっても、訪問看護ステーションにおいて訪問看護療養費を算定した月については、末期の悪性腫瘍や神経難病等の利用者等の場合を除いて在宅患者訪問看護・指導料及び精神科訪問看護・指導料を算定できないこととする。
※ 在宅患者訪問看護・指導料等を算定した月における、訪問看護療養費の取扱いも同様とする。
「概要」と言いつつ、これではあまり理解しやすいとは言えませんね・・・
後述する「具体的内容」を見れば分かりますが、当該改定を一言で説明すると、「訪問看護を組合せで利用した場合の診療報酬算定基準を具体化した」ということです。
なお、当該診療報酬改定について調べていると、下図のような資料を発見しましたのでお示しします(下図でもまだややこしいことこの上ないのですが・・・)。
画像出典:厚生労働省資料
「複数の実施主体による訪問看護の組合せの整理」の具体的内容
本改定に関するポイントは、上述した通り「訪問看護の組合せ(での利用)が具体化されたこと」にあります。
具体的には、下の表のような改定が行われました。
現 行 | 改定案 |
【在宅患者訪問看護・ 指導料】[留意事項]保険医療機関と特別の 関係にある訪問看護 ステーション又は当該 保険医療機関の医師が 訪問看護指示書を交付 した訪問看護ステーション において、訪問看護 療養費を算定した月に ついては、在宅患者訪問 看護・指導料等を算定 できない。 ただし、厚生労働大臣 が定める疾病等の患者については、この限りでない。
|
【在宅患者訪問看護・ 指導料】[留意事項]訪問看護ステーションに おいて訪問看護療養費を 算定した月については、 次のいずれかの場合を 除いて在宅患者訪問看護・ 指導料を算定できない。① 厚生労働大臣が定める 疾病等の患者 ② 診療を担う保険医療機関 の保険医が、急性増悪等に より一時的に頻回の指定訪問看護を行う必要性を 認めた患者であって週4 日以上の指定訪問看護 が計画されているもの ③ 保険医療機関を退院後1月以内の患者に対して 当該保険医療機関が 行った訪問看護・指導 ④ 緩和ケア又は褥瘡ケア に係る専門の研修を 受けた訪問看護ステー ションの看護師が、 当該患者の在宅療養を 担う保険医療機関の 看護師等と共同して 行った場合 |
※ 厚生労働大臣が定める疾病等の患者:「特掲診療料の施設基準等」の「別表第七」に掲げる疾病等の患者及び「別表第八」に掲げる状態等の患者*
※ 同一建物居住者訪問看護・指導料及び精神科訪問看護・指導料も同様とする。**
* 別表第七:「ハイリスク分娩管理加算の対象患者」/別表第八:「一類感染症患者入院医療管理料の対象患者」
** 関連する診療報酬改定項目:「病院・診療所からの訪問看護の評価」
まとめ
以上が、「訪問看護」に関わる改定項目(「病院・診療所からの訪問看護の評価」)の整理になります。
まだまだ改定から間もないため、独自の解釈は控えております。
今後、業務等で改定にかかわる疑問が出てきたときには、ビーナースでざっと把握していただければ幸いです。
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