誤嚥性肺炎は多くの方の死亡要因になっています。
最近では一般向けの健康雑誌やテレビ番組でも特集されるようになってきました。
病院や施設、在宅でも、高齢者や重度障害者の方のケアプランで考慮していることも多い症状でしょう。
それだけ注目されている「誤嚥性肺炎」について、どの程度知っていますか?
「そんなの聞いたこともないよ!」「言葉は知っているけど・・・」という方はここでしっかりチェックしておきましょう!
画像出典:p2.trrsf.com
【PR】
看護師さんで転職を考えている方は
こちらがオススメです♪
誤嚥性肺炎の前提知識:「摂食・嚥下障害」とは?
誤嚥性肺炎を知るためには、まずは「摂食・嚥下障害」について知る必要があります。
一連の流れから確認していきましょう!
摂食・嚥下障害とは
ヒトは、食べ物を確認して口に取り込むと、まずは飲み込みやすい形になるまで咀嚼をします。
そして、唾液と一緒にまとめてから飲み込みます。
人間は食べ物の通り道と、呼気・吸気の通り道は途中まで同じです。
しかし、人間は食べ物が気管に入らないような仕組みを持っています。
口腔周囲の動きや、呼吸、感覚など様々な機能をタイミングよく協調させることで、気管の入口に蓋をすることができるのです。
これが「嚥下」です。
よく「ゴックンして」という言い方をするかと思いますが、それはこのタイミングのことです。
また、こうして食べ物を口に入れるときから飲み込みまでの一連の流れを支える機能を「摂食・嚥下機能」と言い、
その機能に何らかのトラブルが起きている状態を「摂食・嚥下障害」と言います。
脳血管障害の他、口腔周囲の悪性腫瘍、加齢など様々な疾患が「摂食・嚥下障害」によって生じます。
画像出典:wm-n.com
摂食・嚥下障害と誤嚥性肺炎:健康であれば誤嚥への防御反応を持っている
嚥下が上手くいかずに、食べ物が気管に入ってしまうことがあります。これを「誤嚥」と言います。
しかし、誤嚥したから必ずしも命が危ないというわけではなく、いくつかの防御反応を人間は持っています。
中でも「咳」は大きな役割を果たします。
「ムセる」というのは、誤嚥した異物を排除し、身体を守る防御反応なのです。
「誤嚥性肺炎」は防御しきれなかったときに起こる
「誤嚥性肺炎」とは、誤嚥した異物を排除しきれず、肺に到達して炎症が起きたものです。
そのため、「摂食・嚥下障害」の患者さんは常に「誤嚥性肺炎」のリスクを抱えています。
特に重度の摂食嚥下障害の場合は、唾液ですら誤嚥することもあります。
さらに「誤嚥」をしてもムセることがない場合(不顕性誤嚥)もあるため注意が必要。
また、内臓疾患のある場合は嘔吐物による誤嚥のリスクも抱えています。
▶ 次ページへ:誤嚥性肺炎は死亡原因にもなる?現状と今後の課題とは
【PR】
看護師さんで転職を考えている方は
こちらがオススメです♪
関連する記事
嚥下障害予防・抑制のため、食事介助で押さえておくべき6つのポイントとは?
嚥下障害の定義、原因、危険などについておさらいをした上で、食事介助による嚥下障害予防・抑制のポイントを6つご紹介! 果たして、被介助者のQOL向上の秘訣とは?
正しい食事方法とは〜食事介助はQOLの向上につながります〜
食事は美味しく楽しいこと。ただ、高齢者になってくると、歯が悪くなり咀嚼する度に痛む為、予想以上に食べる行為が難しかったり、どうしてもこぼしてしまい周りの目を気にして楽しく食事をすることができない方々が多いです。高齢者が可能な限り自分で食事をし、「食べる喜びを保つ」ための食事介助をご紹介します。
誤嚥性肺炎における看護の具体的工夫5選 ex.不要なケアを見抜くための定期的なケアの見直し
肺炎は日本人の死亡要因の第4位にあり、中でも高齢者では誤嚥性肺炎が高い割合を占めています。いったい、誤嚥性肺炎の看護を行う上で、どのようなポイントを抑える必要があるのでしょうか??
嚥下障害に適した口腔ケアを行う際の2つのポイントって?
嚥下障害のある方にとって、口腔ケアの役割は大きく分けると2つあります。普段あまり動かさなくなった口腔周囲を動かすことと、口腔内の衛生を保ち誤嚥性肺炎の予防につなげることです。しかし口の中を誰かに触られるというのは抵抗感があるものです。今回は口腔ケアを行う際のポイントについてお伝えしたいと思います。
嚥下障害に対して、看護師が意識すべき在宅リハビリのポイント5選
病気やケガ、そして高齢になることで起こってしまう「嚥下障害」。嚥下障害は、「食べる」ということを難しくするばかりか、患者さんを命の危険にさらしてしまうこともあります。在宅でのリハビリテーションについて、看護師が意識したほうが良いポイントはどのようなことでしょうか。