≪著者プロフィール≫ ラプレツィオーサ伸子
日本の大学病院で看護師として勤務後渡米、現在アメリカ人の夫、3人の子供と犬の世話に奮闘しながら、在宅ホスピスナースをしています。
少しでも日本のホームケアの発展に貢献したく、ここアメリカ東海岸から、在宅ホスピスの生の情報をお届けしたいと思います。
何はともあれ、症状緩和
ホスピスや緩和ケアと言うと、日本では癌の疼痛コントロールがとかく取り上げられますが、症状緩和は疼痛に限られたものではありません。
アメリカでは余命6ヶ月以内と診断されれば、あらゆる疾患の人がホスピスケアを受けられます。
疾患によってその症状も様々であり、ホスピスナースに求められるのはまず第一に、身体的症状を緩和することなのです。
身体的苦痛が精神面にあたえる影響は想像以上に多大で、時にはそれがスピリチュアルな面にも及ぶ事さえあります。
誰だって、どこかが痛かったり、吐き気がしたり、呼吸が苦しかったり、身体がだるかったりすれば自然と不機嫌に悲観的になるし、やる気だってなくなります。
それが長い時間続けば続くほど、不安になるし、絶望的な気分にもなるのは当たり前のこと。
患者さんの近くにいる家族にしても、何とかしてあげたいけれど何も出来ずに無力感を感じて落ち込んだり、何かをしようとしても拒否されてお互い気まずくなるなど、周りの人との関係にまで影響を及ぼしかねません。
そんな患者さんやその家族がホスピスナースに期待するのは「とにかく身体を楽にして欲しい」ということです。
私達はそれに答えられるよう、常に正確なアセスメント技術と、それに基づいた症状緩和の知識を磨いておく必要があります。
▶ 次ページへ:在宅ホスピスは医師の目、耳、鼻、そして手になる
関連する記事
『アルツハイマー型認知症の基礎知識と訪問看護』第1回:アルツハイマー型認知症とは
アルツハイマー型認知症この病気、ご存知でしょうか?本記事ではまずこのアルツハイマー型認知症に関する基礎的な知識をご説明します。その上で、近年注目を集めている「訪問看護」における、アルツハイマー型認知症の実態についてご紹介させて頂きます。
『アルツハイマー型認知症の基礎知識と訪問看護』第2回:アルツハイマー型認知症の原因と診断方法
今回はアルツハイマー型認知症の原因と診断方法についてご紹介します。
初対面が苦手なあなたへ!今日から実践できる会話のコツを5つご紹介♪
初対面での『会話』や『印象』によって、今後の関わりに影響します!苦手な初対面でもたった数分で30分以上会話が続くコツを5つ紹介します。
ライフストーリーを語る
サラリーマン退職後も学び続けられる石川 雄一氏にライフストーリーについて執筆いただきました。ライフストーリーを語ることで、立ち止まって人生を振り返ることができ、これから進むべき道が見えてくるかもしれません。
【体験談】看護師の私が夜勤でくぐり抜けた修羅場エピソード
看護師をしている以上、避けて通れないのが「夜勤問題」。生活サイクルが一般の方と違うことによって生じる弊害や、夜勤のしんどさが理解してもらい辛いしんどさなど、「夜勤をする生活」自体がまねく困った事態もあります。看護師6年目の時に経験した、そんな修羅場をご紹介したいと思います。