ホスピスナースが目指すべきは「症状緩和のエキスパート」 by ラプレツィオーサ伸子

 

画像出典:uss.cl

 

症状緩和の評価について ~OASISとESASのご紹介~

 

アメリカのホームケアでは、OASIS(Outcome and Assessment Information Set)によってそのアウトカムを評価します。

サービス開始時、再認定時、サービス終了時の他にも、適宜患者さんの状態によっていつでも再評価する事ができ、その点数によって報酬も調整されるのです。

しかし、ホスピスの場合、殆どのケースが死亡によるサービス終了になるため、アウトカムは悪化する事が前提となり、OASISは長い間適応されませんでした。

ところが近年、ホスピスケアにおいてもそのアウトカムは評価されるべきであると再検討され、症状緩和を対象とした評価が行なわれるようになりました

現在の所、OASISでは疼痛と呼吸困難の2項目を対象にしていますが、OASIS以外の評価基準も症状緩和の指標として使われています。

たとえば私の勤務するホスピスが使っている記録システムでは、ESAS(Edmonton System Assessment Scale)という評価表を使っています。

ESASでは、疼痛、呼吸困難、不安、睡眠状態、嘔気嘔吐、疲労感、抑うつ、眠気、食欲、元気(Feeling of Well being)、その他(うちのホスピスでは便秘を使っています)などを、10段階評価でチェックします。

これらは、疾患に関わらずホスピスの患者さん全般に見られる“不快な症状”であり、ホスピスケアが介入される事でどれだけコントロールされたかを、評価するわけです。

ESASは日々の訪問記録に組み込まれてあり、私の勤務するホスピスでは疼痛、呼吸困難、不安、嘔気嘔吐、便秘の5項目に絞って記録しています。

この評価は報酬に反映するわけではありませんが、看護経過を見直すには良いツールであり、不快症状を軽減する事は、そのまま患者さんのQOLの向上にも繋がるのです。

 

▶ 次ページへ:死への過程を理解することとは?

 

関連する記事


「言葉で伝えることは重要である」の本当の理由【名古屋大学大学院・山内豊明教授インタビュー1】

フィジカルアセスメントの権威である、名古屋大学大学院医学系研究科・医学部保健学科の山内豊明教授インタビュー第1回です。山内先生は、「看護のアイちゃん」という訪問看護アセスメントソフトの監修・開発者で、アセスメントに関する著書も多数。看護に関するご説明はさることながら、表現方法・言語化の部分でも学びの多いインタビュー記事となりました。

男性介護士のメリット・デメリット 〜長期間働けばキャリアアップも〜

あなたの職場に男性の介護職員はいらっしゃいますか。あるいは介護職への転職をお考えの男性かもしれません。もしかしたら、今がチャンス?今回は男性介護士のメリット・デメリットをお伝えしたいと思います。介護職のこれからを考える上での一助になれるよう解説いたします。