教科書とは全く違う認知症看護
様々な症状を発症する認知症患者さん
夜中になると病棟中を徘徊しては、他患者さんに意味もなく椅子を投げつけて危害を加えてしまうこと。
食事や服薬、入浴を拒否され、日中の活動性はまったくなく、昼夜逆転してしまうこと。
弄便も想像を絶するほど逸脱していたこと。
食事もまったく受け付けてくれず、わずかの間で体重が10kg近く減ってしまったこと。
このように、認知章患者の症状を上げたら本当にキリがありません。
毎日、頭を抱えながらも、私なりの看護を提供していました。
また、ケア一つとっても教科書通りにはいかないことを、ここで身を持って痛感しました。
画像出典:i62.tinypic.com
在宅の生活とできる限り近い生活スタイルを作ることが大事
幸いにも、入院当初から家族さんからの協力が得られていたこともあり、キーパーソンの娘さんと一緒に考え、今後の進むべき道を検討していきました。
そこで、甘味が大好きであることを知り、許される限り、食事形態を甘味寄りにしていきました。
もちろん、DM(糖尿病)がないことを確認し、在宅で送ってきた生活スタイルに少しでも近づけるようにしていきました。
水分補給は認知症看護の命綱
水分摂取を促すときも、ノーマルのお茶は一切口にしないことから、そこにガムシロップ2個を加えて提供していました。
ガムシロップ1個だけではお茶がまったく進まないことを考えると、2個のガムシロップはある意味、命綱であったかもしれません。
認知症に携わっている方はすでにご存知かと思いますが、認知症と水分の関連性は、絶対に切り離すことができません。
水分補給は認知症患者さんにとっての命綱でもあります。
認知症の進行スピードは、補給する水分の量によっても、まったく異なってくるのですから、ガムシロップ2個に私自身は助けられていたのかもしれません。
弄便行為もどうして良いのか分からず、拘束や隔離、介護衣の導入などを試みては、その都度評価をしていきました。
そのときの状況に応じて、適切な対応ができていれば、また違った角度から看護の提供ができたのではないかと改めて考えています。
そんなこんなで、私の受け持ち患者さんの奮闘はしばらく続きました。
画像出典:nursingprograms.com
【体験談】ある認知症患者さんとの思い出とは? まとめ
私の持ち患者さんはあるときを境に、Apnea(無呼吸)が頻回に出現するようになったことで、主治医から余命を宣告されました。
Apnea(無呼吸)がありながらも、認知症とともに一生懸命に生きていた患者さんがいました。
そして家族さんの希望により、急変時の対応はDNR(蘇生処置拒否)となり、最期は心安らかに旅立っていきました。
私はこの受け持ち患者さんや家族さんから、たくさんのことを学んだような気がいたします。
認知症は本人だけでなく、一緒に生活している家族も巻き込まれてしまいます。
認知症の生活支援は、家族の支援も当然ながら入ってきます。
介護は本人と家族だけが倒れるまで突き進む一本道ではありません。
私の初めての受け持ち患者さん。認知症看護がますます大好きになったそんな貴重な出逢いであったと、我ながら自負しています。
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