平成28年度(2016年)の診療報酬改定では、
在宅領域(在宅医療・訪問看護・(ホスピス)緩和ケア・看取り)に関わる制度改定が多数行われました。
これは、在宅領域が医療・看護・介護業界に関わる”すべて”の方々に大きな影響があることを意味します。
しかし、webサイトでは、政府資料のペーストがされているのみで、情報が整理されているとは言い難いのが実情。
そこで、ビーナースが他サイトに先駆け、「在宅」にかかわる診療報酬改定項目を順次見やすい形に整理していきます。
今回は、中でも「地域包括ケアシステム」に関わる改定項目(「重症患者を受け入れている10 対1病棟に対する評価の充実)を、用語解説を含めてご説明します!
※公式資料はこちら(本記事に関連するのはp12-13)
画像出典:img.medscape.com
本記事の目次
「重症患者を受け入れている 10 対1病棟」について
まずは、「重症患者を受け入れている 10 対1病棟」の用語説明になります。
「重症患者」をご説明したうえ、「10対1病棟」についてはその意味や施設基準等の基本事項をご説明します。
「重症患者」とは?
ここで言う「重症患者」とは、「重症度、医療・看護必要度」のことで、「看護必要度加算」として算定するときの基準となる尺度のことです。
2016年度の診療報酬改定では、看護必要度加算も改定されましたので、下図にて概要をご確認下さい。
※なお、看護必要度加算の改定については、厚生労働省資料のp4-6をご参照のこと
画像出典:medwatch.jp
10 対1病棟とは?
10対1看護配置とは
「10対1看護配置」とは、入院患者様10人に対して常時看護師1人以上を配置するというものです。
かつては「雇用されている看護職員数」が基準となっていたため、「2対1」と呼ばれていました。
しかし、2006年に「各勤務帯で実際に看護を提供している看護職員数に基づく実質配置」の表記に変更されました。
例えば,「2対1」は「10対1」に,「3対1」は「15対1」となったのです。
一般病棟入院基本料とは
一般病棟(療養病棟入院基本料、結核病棟入院基本料又は精神病棟入院基本料を算定する病棟以外の病院の病棟)で、
看護配置、看護師比率、平均在院日数その他の事項につき下記の厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして
保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者(第3節の特定入院料を算定する患者を除く。)について、
当該基準に係る区分に従い、所定の点数が定められています。
ただし、通則第6号に規定する保険医療機関の病棟については、この限りではありません。
この、「一般病棟入院基本料」について分かり易く図示したものが下図になります。
※ただし、点数等は2010年時点のものです。あくまで全体像把握に用いて下さい
画像出典:「はじめて学ぶ病院経営のしくみ」
10対1入院基本料の施設基準
- 1.当該病棟において、1日に看護を行う看護職員の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が10又はその端数を増すごとに1以上であること。
ただし、当該病棟において、1日に看護を行う看護職員の数が本文に規定する数に相当する数以上である場合には、
各病棟における夜勤を行う看護職員の数は、本文の規定にかかわらず、2以上であることとする。 - 2.該病棟において、看護職員の最小必要数の7割以上が看護師であること。
- 3.当該病棟の入院患者の平均在院日数が21日以内であること。
※上記の引用元
地域包括ケアシステムにおける「10 対1病棟」の位置づけ
「7対1入院基本料等の施設基準の見直し」と同様に、地域包括ケアシステムにおける位置づけをご説明します。
現在の病床の構成は7対1の病床が最も多く、次いで療養型となっています。
そのため、それらを順に並べてみると、下図(左部)のようにワイングラスのような構成になっています。
つまり、間にいるべき亜急性期、回復期が不足しているという構図で、在宅復帰の妨げになっていると言われています。
地域包括ケアシステムでは、これを2025年までにこけしのような形まで持っていくという目標を掲げています。
すなわち、10対1病棟は、「7対1病棟からの移行の受け皿」という位置づけになります。
さらに踏み込んで、7対1から10対1への移行に伴う問題点については、「病棟群単位による届出」の改定項目にて改めてご説明いたします。
画像出典:厚生労働省資料「平成26年度診療報酬改定の概要」p9
「重症患者を受け入れている10 対1病棟に対する評価の充実」の概要
それでは、「重症患者を受け入れている10 対1病棟に対する評価の充実」の改定項目の内容に触れていきましょう。
本改定の趣旨
地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携
本改定の基本的な考え方
10 対1入院基本料を算定している病棟のうち、
一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」に該当する重症患者を
一定程度受け入れている保険医療機関について評価の充実を行う。
改定項目概要
一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」の見直しに伴い、
10 対1入院基本料を算定している病棟について、
一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」に該当する患者を受け入れている割合に応じて
看護必要度加算の評価を見直す。
「重症患者を受け入れている10 対1病棟に対する評価の充実」の具体的内容
本改定の具体的内容は、下図の通りです。
[経過措置]
平成 28 年3月 31 日に看護必要度加算1又は2の届出を行っている病棟については、
平成 28 年9月 30 日までの間、それぞれ看護必要度加算2又は3の基準を満たしているものとする。
「重症患者を受け入れている10 対1病棟に対する評価の充実」 まとめ
以上が、「地域包括ケアシステム」に関わる診療報酬改定項目(「重症患者を受け入れている10 対1病棟に対する評価の充実」)の整理になります。
まだまだ改定から間もないため、独自の解釈は控えております。
今後、業務等で改定にかかわる疑問が出てきたときには、ビーナースでざっと把握していただければ幸いです。
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