『看護師と訪問看護師のイロハ』　第2回：業務①（概要編）

看護師と訪問看護師の業務内容、最大の違いって？

上記ではざっくりと、

看護師の仕事：健康の回復を図る人々のお世話をする仕事
訪問看護師の仕事：自宅訪問し、健康の回復を図る人々のお世話をする仕事

と定義しましたが、日々の業務内容にはどんな違いがあるのでしょうか？

以下、そちらをやや俯瞰しながら見ていきましょう。

※具体的な業務は第3回でお示しします。先にそちらが見たいという方はこちらへどうぞ！

業務内容の違い①：「協働する人」による違い

ズバリ、看護師と訪問看護師の業務における決定的な違いは、「共に働く人との関係性」にあるといえます。

つまり、「誰と看護するの？」という所からくる違いです。

協働する人に違いがあれば、業務の内容に違いが出るのは当然の話ですよね？

看護師は、病院において療養者のお世話をするため、ある程度の「分業」をすることが出来ます。

しかし訪問看護師は、基本的に「一対一（1療養者に対し1訪問看護師）」という構図になるため、必然的に療養者が必要とするものすべてに関して「1人で対応」することになります。
（なお訪問看護師は、療養者と対面する看護中の業務以外にも、療養者宅に向かうための準備業務や薬の服用や病状の急変などの際のかかりつけの医師との連携等も付加されます）

図2. 訪問看護師の業務内容一覧

①療養のお手伝い

身体の清拭、洗髪、入浴介助、食事や排せつなどの介助・指導

②医師の指示による医療措置

かかりつけ医の指示に基づく医療処置

③病状の観察

病気や障害の状態、血圧・体温・脈拍などのチェック

④医療機器の管理

在宅酵素、人工呼吸器などの管理

⑤ターミナルケア

がん末期や終末期などでも、自宅で過ごせるよう適切なお手伝い

⑥床ずれ予防・処置

床ずれ防止の工夫や指導、床ずれの手当て

⑦在宅リハビリテーション

拘縮予防や機能の回復、嚥下機能訓練等

⑧認知症ケア

事故防止など、認知症介護の相談・工夫をアドバイス

⑨ご家族等への介護支援・相談

介護方法の指導ほか、様々な相談対応

⑩介護予防

低栄養や運動機能低下を防ぐアドバイス

参考：全国訪問看護事業協会

業務内容の違い②：「看護対象者」による違い

2つ目は「看護対象者（療養者）の状態」による違いです。

つまり、「誰を看護するの？」という所からくる違いです。

＜訪問看護師の場合＞

そもそも「訪問看護」とは、病気や障害があり自宅での療養が必要とされる場合に行われる看護形態です。

そのため、療養者の病状や年齢などに応じて、「自宅での療養」の”程度”や”範囲”が異なってきます。

たとえば、余命いくばくもない中で自宅での療養を希望される方を対象にした場合、話し相手となることが業務の主たるものになることも有り得るということです。

つまり、様々な療養者のケースに応じた「柔軟な対応」が求められます。

＜看護師の場合＞

一方、看護師の場合には、もちろん特例的な患者さんはいるとはいえ、基本的には大多数を相手にします。

ですから、ある種”程度”や”範囲”といったものはある程度予測を立てなければ対応が難しいため、「固定的な対応」が基本的には求められることになります。

第2回まとめ　～看護師と訪問看護師の業務内容の違い～

以上、業務内容の違いについての整理でした。

当然ながら、この他にも「場所」や「法令の縛り」の違いなど、見方としては多数あります。

ただし、今回は「イメージ」を持つということを主眼に置き、上記2つの観点からご説明しました。

これらは、下図のようにまとめることが出来ます。

	訪問看護師	看護師
「誰”と”看護？」の観点	一人	分業体制
「誰”を”看護？」の観点	柔軟な対応	固定的な対応
つまり・・・	一人で柔軟な対応が求められるのが訪問看護師	分業体制の中で固定的な対応が求められるのが看護師