ホスピスナースのやりがいとは
アメリカで現役ホスピスナースとして活躍されているラプレツィオーサ伸子さんはホスピスナースのやりがいを以下のように答えてくださいました。
ホスピスは、「死ぬ場所」ではなく「死ぬまで自分らしく生きられるようにサポートするケア」なのです。
私達ホスピスナースは絶望などしません。
なぜなら、全ての人の人生には価値があり、生まれてきた意味があり、そしてその身体が消滅した後も、その価値と意味は、その人を知る人々の心の中で生き続けるからです。
そして、そんな風に一人一人の人生の最終章に関わることの出来るホスピスナースという仕事は、私にとってどんな小説や映画よりも面白く、「生きる」ことの意味を学べる、終わりのない物語なのです。
たしかにホスピス以外でも看護師であれば、患者さんの生死に関わることはあると思います。
しかし、伸子さんのようにここまで強く人生という視点で患者さんの一人ひとりを診ることは少ないのでしょうか?
ラプレツィオーサ伸子さんの連載は続いているので、是非参考にしてみてください。
また、日本でホスピスナースの先駆者と言われている田村恵子さんインタビュー記事もあるので、是非あわせてご覧になってみてください。
ホスピス業界の今後の展開とは
ホスピス業界の課題とは
ホスピス業界の中でも特に、「在宅ホスピス」が抱える課題に着目すると、「患者さんおよびご家族の負担」の問題は、在宅ホスピスに今後も継続してつきまとう課題であると考えられます。
この点、「最期までの自宅療養が実現困難であるとお考えになる具体的な理由をいくつでもお答えください」という患者さん本人へのアンケートの結果を下に掲載しておきます。
※厚生労働省第19回社会保障審議会医療保険部会(2005年)資料
画像出典:mhlw.go.jp
上図からは、「家族への負担」や「症状が急変したときの対応」が患者さんの大きな不安要因であることが分かります。
この点、インフォームドコンセントの徹底が最も具体的なレベルでの解決策になると考えます。
というのも、医師に「インフォームドコンセントをしましたか」と問うと75%の人が「自分はきちんとしたインフォームドコンセントを行った」と答えていますが、
患者さんに尋ねると、75%の人が「自分はきちんとしたインフォームドコンセントを受けていない」と答えていることが報告されているからです。
また、社会レベルでいえば、家族が事前に在宅医療やホスピスの情報を知っていれば、不安に思うべきポイントがある程度分かります。
さらに、行政レベルでいえば、在宅医療の課題と同じように「関係機関同士の連携を深めること」は、「患者さんの安心」にとっていい影響を及ぼすに違いないでしょう。
このように、様々なレベルでの解決策が考えられます。
(参考:第25回 福岡緩和ケア研究会 定例会(2003年2月26日)資料)
今後のホスピス業界に必要なものとは
●マインドとスキルを持った医療従事者の育成
『残された時間を悔いなく自分の生きたいように使って欲しい』という思いを持って患者さんにケアを行なうことができる医療人の育成が大切です。
研修・教育システムの効果を組織横断的に共有し、国家全体で人材育成に力をあげることが非常に重要です。
アメリカにてホスピスナースとして活躍しているラプレツィオーサ伸子さんの記事は〈こちら〉
●多様な担い手創出・地域の理解
在宅医療・ホスピス業界がより進展していくためには、民間法人は重要になります。
ただ、多くの地域では、介護・福祉の各分野は民間法人の規模が必ずしも大きいとは限りません。
その点、地域に不足する支援・サービスが把握されたとしてもその事業化を民間法人だけに委ねることは難しい場合が多いため、地域の市区町村の協力を借りる取り組みは重要でしょう。
また、地域住民や高齢者自身が支援・サービスの担い手となることは、地域づくりの点からも特に重要です。
住民をサービスの受け手として捉えるだけではなく、住民とともにどのようにして不足している社会資源開発を進めていくのかという視点です。
例えば、サポーター養成講座などで地域住民への知識・技術の習得を促す取組を進めつつ、
その後に、住民自身が自立的に活動を始められるような仕掛けをつくっていくことなどがこれにあたります。
画像出典:kaigokensaku.jp
看護師がホスピスで働くということ〜まとめ〜
今回は看護師としてホスピスで働くということ、ホスピスの今後の業界の動向にも触れながらご紹介させていただきました。
田村恵子さんや、ラプレツィオーサ伸子さんのようにホスピスナースとして活躍されている方もいますが、今後ますます需要拡大してきます。
この記事でホスピスナースに少しでも興味を持っていただければ幸いです♪
【PR】
看護師さんで転職を考えている方は
こちらがオススメです♪
この記事はいかがでしたか? ・週一回なら、まぁ見てもいいかな♪ といった方は是非ご登録をお願いします!!
下記リンクからの無料会員登録で、 メルマガ受け取り@毎週土曜日 診療報酬改定まとめ資料受け取り などが可能になります!! (もちろん、わずらわしい情報は一切お送りしませんよ♪)
|
☆関連お役立ち情報☆ |
・わたしがアメリカで在宅ホスピスナースになるまで byラプレツィオーサ伸子 |
☆おすすめのまとめ記事☆ |
★ここまでで分からない用語はありませんでしたか? そんな方は・・・
関連する記事
在宅ホスピスとは? ~最期まで「心に寄り添う」仕事。看護師が働くうえでのメリットも解説~
積極的治療を望まず、苦痛を緩和して人間らしい最期を迎えたいと思う人が増えています。今回は、在宅ホスピスの待遇面について、施設ホスピスと対比しながらご説明していきます。
【田村恵子京大教授インタビュー1】ホスピス先駆者のイマ語り ~京大教授と対話とヒトデ~
日本を代表するホスピスナース、京都大学大学院の田村恵子教授のインタビュー記事第1回です。約30年に渡る臨床経験を持ち、がん看護専門看護師の草分けとしてもご活躍された田村先生に、約3時間みっちりとお話を伺えました。まずは、現在のご活動内容からスタートです!!
【田村恵子京大教授インタビュー2】なぜ京大教授に? ~教授公募の裏側、田村恵子と現象学~
田村恵子先生のインタビュー第2回です。今回は、下記のような内容を収録しております。なぜ京大教授に就任されたのか?/なぜ「現象学」にご興味を持たれたのか?/田村先生の人生を変えた、全身が震えたある言葉とは? 実践者であり研究者でもある田村先生の含蓄溢れるお言葉の数々。 是非ご覧下さい!
【田村恵子京大教授インタビュー4】思い立ったら即行動、そして「ぶれない自分」へ
もともと看護師志望ではなかった田村さんですが、あるがん患者さんとの出会いをきっかけに看護にのめりこんでいったのでした。本稿では、ホスピス病棟勤務までの道のり、大学院修士課程へ飛び込む決断を促したきっかけなどを収録しています。
【田村恵子京大教授インタビュー5】看護のコツは「揺れ幅を調整すること」
いよいよ田村恵子先生のインタビュー最終回になりました。本稿はその集大成と呼ぶにふさわしく、特に現役看護師の方にとって非常に充実したお話が伺えたのではないかと思っています。田村恵子、かく語れり。是非、最後までご覧になってください♪