在宅看護は「人生のファーストチョイス」としての価値がある【日本ホスピスホールディングス・高橋 正社長インタビュー2】

日本ホスピスホールディングスの今後(ビジョン)

 

――今後の展望についてお聞かせいただけますでしょうか?

 

当社のビジョンとして、「年間1万人の看取り支援」を掲げています。

1万人の看取り支援を実現するためには、こうしたハウスと在宅サービス組み合わせの拠点(※ファミリーホスピス鴨宮ハウスのような)が50か所は最低必要だと思っています。

1つの拠点で200人看取りを想定します。

 

たとえば鴨宮ハウスでは、定員12人ですから年間40-50人くらいの見取りが可能です。

今後は定員20人くらいの規模を基本として、ハウスで80-100人を看取れるといいなと思っており、残りは一般在宅、居宅の方の看取り支援を加えて200人を想定しています。

 

これからは、施設だけではなくて地域に出ることがやはり大事なことですので、箱(施設)を拠点(バックベッド)として、しっかりと地域包括ケアのシステムとして機能すること、在宅サービスも在宅看取りも担うことが大事だと考えます

 

 

鴨宮ハウス、看取り

 

――社会として、すごく大きな受け皿になりますね。エリアは主に関東圏でしょうか?

 

主な展開エリアとしては関東です。

関東エリア1都3県では、これから爆発的に高齢者が増え続けますが、これは団塊世代の人口構成によるものです。

現在の日本経済と文化の基盤を作ってきた人たちが選ぶサービスは、今までの延長上には無いと考えた方が良いでしょう。

既存制度にとらわれずに本質的な価値を追求して来た団塊世代の方々に選んでもらえるサービスづくりを考えています。

 

――行政面や制度的なところではどのような予想を立てていますか?

 

医療保険も介護保険もマーケット規模はどんどん大きくなっていきます。

しかし、使う人が増えて負担者が脆弱化していくのも見えていますから、公費の使い方はシビアにならざるを得ないと考えるべきです

利用者を絞ることが必要なわけですが、一律的に一人当たりの利用単価を絞るのではなくて、使える対象者を絞って行く、本当に必要な人状況出なければ公費サービスは使えなくなると考えるべきです。

重度な認知症、重度介護、ターミナルケアなどに使う時期が絞られてくるのではないでしょうか。

そういう意味では我々の事業は、残されるべき対象の中に入っているとは思います。

とはいっても、事業環境がシビアに変わるのは間違いないと考えておく必要はあります。

 

――人材の面ではいかがでしょうか?

 

病院における看護師のあり方が変わると思います

具体的には、今のような看護師不足から、あっという間に看護師過多の時代が来ると考えています。

 

看護師は間違いなく病院から在宅にシフトしなければならないはずで、その大きな流れの受け皿を担う覚悟を持たないといけないと考えています。

それにあたって、教育・研修などを充実させる必要があります

在宅看護の新人や新卒の方でも安心して働けるような仕組みは作っていきます。

 

――「採用」に繋がるものとして、御社の福利厚生の面の工夫はいかがでしょうか?

 

例えば、エルネック(ELNEC-J※)研修を、必ず開設時に看護・介護合同で行っているのは弊社の大きな強みだと思っています。

関東では受けたい看護師がすごく多いので、研修を受けることさえ難しい環境です。

ましてや介護職が受けれることはまずありません。

しかし、当社ではエルネックの指導者が複数名在籍していますので自己開催できます

 

また、専門看護師、認定看護師という上位資格者が多いのも当社の強みです。

すごく恵まれていると思っています。

来年にも何人かの看護師が認定コースを受講する予定があります。

これからも、上位資格を社内から目指せるような仕組みを整備したいと考えます。

それはもちろん、お金の面だけではなく、働き方の面も含めた支援です。

 

(※)エルネック:ELNECとは、米国で生まれた「エンド・オブ・ライフ・ケア(EOLケア)や緩和ケアを提供する看護師に必須とされる能力修得のための系統的な教育プログラム」のことです。日本版ELNEC-Jというプログラムに修正されて運用されいます(参考:日本緩和医療学会HP

 

――聞いたところ、御社には「ナーシングスタッフ」という制度があるそうですけれども、どういったものでしょうか?

 

通常、「あの人はリハだから」「あの人は介護だから」「看護師だから」というラベルを付けてしまいがちですが、そもそもその「呼び方」が溝を作っている気がしたので、「ナーシングスタッフ」と呼び合うことにしています

これは、この鴨宮ハウスを起ち上げた時に僕が言い始めたことです。(笑)

会社としてしっかりコンセンサスをとった仕組みでもないんですけども、皆実践してくれて、「制度」になった感じです。

 

――高橋さんのお考えに共感して、定着したのでしょうね。。。素敵な考えだと思います。

 

おわりに : ビーナースの読者 / 現役看護師へ向けて

 

――最後に、ビーナースの読者の方々、あるいは、病院で働く看護師さんといった方へのメッセージをいただきたいです。

 

在宅看護に少しでも興味を持っている人は、まずは体験でも良いので一回現場に飛び込んでみることをおすすめします

 

体験トライアル」はうちでももちろん開いてますし、他の訪問看護ステーションでも大抵は体験させてくれると思いますので、「百聞は一見に如かず」というつもりで体験してみて欲しいです。

できれば一人の患者さんを最期まで看れるとすごく刺激になると思います。

関わり方が病院とはもう全く違っていて、一人の患者さんに一貫して関われるうえに、一回の訪問での関わり方も非常に濃厚です。

絶対にやりがいを見出してくれると思っています。

 

――体験することで、絶対に何か発見があると。

 

その通りです。

ただし、病院から来た場合は、最初は少し戸惑いを感じることはあるかもしれません。

慣れるまでは最初の半年くらいがキツイかと思います。

 

――転職となると、やはり最初はそうですよね。

 

どんなに希望を大きく持っていてくれても、絶対挫折することはあります。

病院勤務と在宅看護は、そもそもの仕組みが違うため体も頭も馴染まないんです。

 

たとえば介護保険は30分、60分、90分とケアを時間管理することが求められます。

必要なケアを必要なだけという病院の関わりと全く違います。

多くても少なくもいけないというのは非常に不合理に感じるかもしれません。

 

しかし、働き始めてから時間が経つと、「決められた時間の中でどれだけの関わりを持てるか」という考え方にシフトできます。

概ね6か月を越えると、みんなグーンと馴染んで伸びてくれます。

 

――現在、体験の応募は相応数ありますか?

 

あります。

管理者候補の看護師などは、入職するまでに3度くらい1日体験を経験していただいています。

結果的に管理者を断念した看護師、ゼネラルな看護師をイメージしていたけども、「管理者を目指したい」と考えを変えた看護師もいます。

これは今までにないサービスなので、是非ご応募いただきたいです。

 

今後、病院における看護師の役割は、医療制度改革によってもっと様変わりするでしょう

病院はより短期間の入院になり、在宅や施設看護との連携が必要になります。

病院で働き続けるつもりの看護師さんも、是非在宅看護を経験していただければと考えます

 

お気軽にご相談いただければと思います。

ご連絡を心よりお待ちしています。

 

★日本ホスピスホールディングスのご紹介

 

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【高橋 正社長のMEDでのプレゼン動画】

 

出典:youtube.com

 

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